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FX取引に税金はかかる?税率は?税金の計算方法を徹底解説

この記事で解決できるお悩み
  • FX取引で稼いだらどれくらいの税金がかかるのか知りたい
  • FX取引の税金の計算方法を理解したい
  • FXの税率や申告方法について詳しく知りたい

本記事では、FX取引における税金の仕組みや申告方法を、わかりやすく解説する。

まず、FXの利益が雑所得として申告分離課税の対象になることを示し、簡単な計算例を使って「税金はいくらになる?」という疑問に答える。

次に、確定申告が必要な条件やその具体的なやり方についても紹介する。

さらに、損益通算や繰越控除を活用することで得られる税制上のメリットや、経費を適切に計上することで節税する方法も取り上げる。

FX取引に関する税金の全体像をしっかり理解できる内容となっているので、ぜひ最後までお読みいただきたい。

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目次

FX取引にかかる税金とは?

FX取引で得た利益は、税務上の「所得」である。トレーダーは、この所得について。税金を負担しなければならない。

個人が行うFX取引の税金については、以下の4ポイントに要約できる。

  • 課税対象は「最終的な利益」である
  • 「申告分離課税」で課税される
  • 納めるべき税金は「所得税」と「住民税」である
  • 実質的な負担税率は「20.315%」である

これらのポイントについて、順番に説明していこう。

課税対象は「最終的な利益」

FX取引で得た利益への課税は、1年間の取引結果を合算した最終的な利益に対して行われる。

たとえば、年間で利益が出た取引と損失が出た取引がある場合、それらを合算して得られた最終的な利益に課税されるのである。

2 「申告分離課税方式」で課税される

申告分離課税方式とは、他の所得とは「分離して」「申告する」課税方式のことだ。

まず、「分離して」という部分についてみていこう。所得税の課税方式には、以下の2つがある。

  • 総合課税方式
    • 給与や年金などすべての所得を合算して税額を計算する
  • 分離課税方式
    • 特定の所得のみを独立して計算する

FX取引では、2つめの「分離課税方式」が採用されている

次に「申告する」という部分だ。これは確定申告が必要であることを意味する。

確定申告とは、1年間の所得を集計し、納税額を自ら計算して税務署に報告する手続きのことだ。

サラリーマンなどの給与所得者なら、給与所得が年末調整によって自動的に処理されるので確定申告は必要ない。これとは異なり、FXでは原則として「申告」が必要なのだ。

まとめると、FX取引で得た所得は、分離して計算し、確定申告を通じて納税額を確定することが求められるのである。

3 納めるべきは「所得税」と「住民税」である

FX取引の利益に対しては、国税である所得税と、地方税である住民税が課される。

所得税とは、1年間に得た所得にかかる税金のことだ。FX取引で生じた損益は、所得の10区分のうち「雑所得(先物取引に係る雑所得)」として扱われる。

所得税法による10区分

所得税法では、所得を10種類に区分し、それぞれに異なる課税方法が適用される。ここでは、わかりやすくする目的で、「個人が行う投資」に関連する所得とそれ以外の所得に分けて紹介する。

  • 個人が行う投資に関連する所得
    • 譲渡所得:  土地、建物、株式などの資産を売却したときに得られる利益配当所得:配当所得は、株式や投資信託の分配金など、企業の配当金を受け取る際に発生する所得利子所得: 預貯金や債券の利子による所得不動産所得:不動産の賃貸収入から得る所得雑所得:FX取引や仮想通貨取引、アフィリエイト収入など、他の所得区分に該当しない所得。
  • 個人が行う投資に関連しない所得
    • 給与所得:会社や個人事業主から支払われる給与や賃金、賞与など事業所得:自営業者やフリーランスの人が得る所得。投資会社やプロの投資家として活動する場合は、事業所得として扱われることもある退職所得:退職時に支給される退職金など。他の所得とは分離して課税され、退職所得控除が適用される山林所得:山林を伐採して木材として販売した場合の所得。長期間の山林保有が前提で、特別控除が適用される一時所得:生命保険の満期保険金や懸賞金、競馬の払戻金など、一時的に得た所得

参考:No.1300 所得の区分のあらまし|国税庁

4 実質的な負担税率は「20.315%」である

FX取引にかかる税金の負担税率は、実質20.315%である。

所得税15%と住民税5%に加え、2013年から2037年までは、復興特別所得税として所得税額の2.1%が上乗せされる。

なお、この税率20.315%は、個人であれば利益の額にかかわらず一律だ。つまり、所得額が大きいと税率が上がる累進課税ではない。

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FX取引の税金はどのくらいかかる?

次に、FX取引にかかる税金の具体的な計算方法を確認していく。

FX取引にかかる税金の計算

FX取引で得た利益に対して、どのように税金が計算されるか、具体的な方法を解説する。

FX取引の税金計算の基本

税金は、「課税所得×税率」で計算する。

①まず、FX取引から生じた損益を、以下のように計算する。

課税所得(FXの利益) =為替差益+スワップポイント-必要経費

②次に、課税所得に税率を乗じて、支払うべき税金額を計算する。

税金の額=課税所得×20.315%

たとえば、以下のようなケースでは、以下のように計算する。

  • 為替差益
    • 100万円
  • スワップポイントの支払い
    • 3万円
  • 諸経費
    • 2万円

課税所得 = 100万円(為替差益)-3万円(スワップポイント)-2万円(諸経費)=95万円

次に、この課税所得に税率20.315%を掛ける。

税金の額 = 95万円 × 20.315% = 193,000円(1円未満の端数は切り捨て)

つまり、このケースでは、年間のFX取引による利益に対する税金は193,000円となる。

FX取引の年間損益を確認する方法

FX取引の年間損益を確認するもっとも簡単な方法は、FX口座が提供する「年間取引報告書」を利用することだ。

多くのFX会社は、前年の取引結果をまとめた「年間取引報告書」を、1月中旬を目処に提供してくれる。

この報告書は、FX口座の取引画面や専用マイページの「報告書」メニューなどからアクセスできる。

たとえばFXネオ(GMOクリック証券)では、PCおよびスマホアプリで「年間損益報告書」を表示できる。

この報告書には、「①売買損益の合計、②手数料の合計、③スワップポイントの合計」を合算した年間損益金額が表示される。

なお、確定申告の際にこの書類自体を税務署に添付する必要はない。

FX取引で経費として認められるもの

課税所得の計算の際には、必要経費を差し引くことができる。では、この必要経費には、具体的にどのようなものが含まれるのだろうか。

国税庁によれば、必要経費として認められるのは、以下のような費用である。

  • 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
  • その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

FX取引においても、FX取引の収益を得るために直接必要な費用や、取引に関連する管理費などが該当する。

以下は、必要経費として認められる可能性がある費用だ。

  • FX取引にかかる手数料(売買手数料、銀行振込手数料など)
  • 取引ソフトの購入代金やレンタルサーバーの利用料
  • 取引で使用するパソコンやスマホ、タブレットの購入費用
  • 取引関連の書籍や、新聞・電子書籍の購読料
  • FXに関するセミナー参加費やコンサルティング費用、またこれらにかかる交通費・宿泊費
  • インターネット接続料金や電話代など、取引に必要な通信費

経費計上において注意すべき事項は、以下のとおりだ。

  • スプレッドは決済時にはすでに差し引かれているため、別途経費として計上することはできない(計上すると、経費の二重計上になる)
  • パソコンやスマホのように、FX取引以外でも使用しているものは、業務で使用した分のみを按分して(「家事按分」を行って)経費に計上する必要がある
  • 経費は支払った年に計上するのが原則である。減価償却などの特殊な場合を除き、支出が確定した年に経費として申告することが基本である
  • 引用:No.2210 必要経費の知識|国税庁 

他の投資手法との違い

FXトレーダーの中には、株式や不動産、投資信託など他の投資手法にも興味を持っている方が多いだろう。

ここでは、FX取引と他の投資手法における税金の取り扱いや課税方式の違いを確認していこう。

スクロールできます
所得区分負担する税率課税方式
FX投資雑所得20.315%申告分離課税
株式投資・投資信託譲渡所得、配当所得20.315%選択できる
債券投資譲渡所得、利子所得20.315%選択できる
預金利息利子所得20.315%源泉分離課税
不動産投資不動産所得、譲渡所得不動産所得は累進課税、譲渡所得は定率総合課税、または申告分離課税
海外FX雑所得累進課税総合課税
仮想通貨雑所得累進課税総合課税
(出典:アドバイザーナビが作成)

株式および投資信託

株式投資と投資信託の税制に関しては、以下のように、基本的に同じ枠組みで課税される。

  • 所得区分
    • 譲渡所得および配当所得が該当。投資信託の分配金は「配当所得」に区分される
  • 負担する税率
    • 原則として20.315%の税率が適用される
  • 課税方式
    • 「源泉徴収ありの特定口座」で取引をしている場合は申告が不要。一般口座または「源泉徴収なしの特定口座」では、確定申告が必要

ただし、大口株主(3%以上の株式保有者)に対しては総合課税が適用され、配当控除も適用されないなどの特別なルールがある。

  • 参考:株式・配当・利子と税|国税庁 

債券投資

債券投資の税制は、株式や投資信託とほぼ同様の扱いである。2016年以降、国債や地方債などの公社債については、利子、譲渡損益、償還差損益が申告分離課税の対象となっている。

これにより、株式などとの損益通算や繰越控除が可能になった。

公社債および公募公社債投資信託は特定口座で取引できる。「源泉徴収ありの特定口座」を選んだ場合は、確定申告が不要となる。

不動産投資

不動産を保有し、運用している期間の所得は「不動産所得」として扱われ、所得税と住民税がかかる。

  • 「総合課税方式」により、不動産所得は他の所得(給与所得や事業所得など)と合算され課税所得が計算される
  • 課税所得金額が増えるほど税率が上昇する方式(累進課税)が採用されている。つまり、課税所得の段階に応じて税率が異なる
  • 税率は5%から45%で、一律10%である住民税も加えると、最大で55%の税率となる可能性がある

また、不動産を譲渡したことで得た所得(譲渡所得)にも、所得税と住民税がかかる。

譲渡所得は、譲渡で得られた収入から「取得費+譲渡費用」を差し引いた額だ。なおこの場合は、他の所得と通算はできない。

税率は、短期譲渡の場合は39.63%で、長期譲渡なら20.315%だ。期間の区分は、譲渡した年の1月1日時点で、5年以下なら短期となり、5年を超えると長期となる。

  • 参考:No.2260 所得税の税率|国税庁

海外FX業者での取引

海外FX業者で行った取引に対する税金は「雑所得」の扱いだが、課税方式は「総合課税」となる。そして、他の所得と合算され累進課税による税率が適用される。

税率は5%から最大で45%なので、海外FXで高額な利益を得た場合、国内FXよりも大幅に高い税金を課される可能性がある。

損益通算や繰越控除などの税制上の特典は、海外FXでは適用されない。

仮想通貨

仮想通貨取引によって得た利益は「雑所得」に分類され、総合課税方式の累進課税が適用される。

仮想通貨の売買差益やマイニングによる利益は、仮想通貨を円や他の法定通貨等に交換する際に発生する。

仮想通貨の取引で生じた損益は、他の金融商品のように損益通算や繰越控除を利用することができないため、利益が出た場合には、その年の総合課税に基づいて納税を行う必要がある。

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FX取引で確定申告が必要になるケース

FX取引による所得は、基本的には「確定申告により税額を確定させること」が必要だ。

ただし、給与所得者では扱いが複雑なため、少し注意が必要である。

給与所得者で確定申告が必要なケース

給与所得者がFX取引により利益を得た場合、以下のようなケースでは確定申告が必要になる。

順番に解説していく。

1 本業以外の所得が20万円以上の場合

会社員や公務員などで「年末調整の対象となる人」は、年末調整を通じてその年の所得税が自動的に調整され、源泉徴収によって納税が完了する。

しかし、「年末調整を受けた給与所得」以外に、合計で20万円以上の所得(利益から経費などを差し引いた金額)がある場合は、確定申告の必要がある。

たとえば、以下のようなケースは、合計で20万円以上なので確定申告が必要になる。

  • FX取引で得た所得が32万円になった
  • FX取引と副業収入を合わせて所得が21万円になった

ただし、以下のようなものは、所得金額の合計に含める必要はない。

  • 上場株式等の配当、譲渡による所得、利子などで、「確定申告をしない」と選択したもの
  • 源泉分離課税適用の預貯金利子、金融類似商品の収益、特定の一時払養老保険の差益
  • 参考:所得金額の合計金額に含まれない所得|国税庁 

2 年間の収入が2,000万円を超えている場合

給与所得者で、年間の収入が2,000万円以上ある場合は、FXの利益額にかかわらず確定申告が必要となる。

3 給与を2か所以上からもらっている場合

複数の会社から給与をもらっている場合で、給与所得が源泉徴収の対象となっている人は、少し注意が必要だ。

規定の内容は、「2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人」となっている。

この文章を分解すると、以下のようになる。

  • 2か所以上から給与を受けている場合で、
  • 給与のすべてが「源泉徴収の対象」であっても、
  • 年末徴収は1か所のみで行われる(この部分は納税が終了)
  • よって、「年末徴収が行われていない給与」は納税が未了
  • だから、「年末徴収が行われていない給与」と他の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要

本業A社からの収入が20万円(年末調整済み)、副業B社からの収入15万円(年末調整なし)、FX取引による所得が8万円あった場合は、15万円+8万円=23万円なので、確定申告が必要になる。

医療費控除を受けたい場合

医療費控除を受けたい場合は、FX取引の利益や所得額にかかわらず、確定申告を行う。

給与所得者以外で確定申告が必要となるケース

給与所得者ではない個人事業主や、フリーランスなどは、年末調整が行われないため、自分で所得税の確定申告をする必要がある。

これには、自営業の方や、企業に勤めていない方が該当する。

一方で、主婦や無職の人など、FX以外に所得がない人は、年間のFX取引で得た利益が48万円以下なら確定申告の必要はない。

線引きとなる「48万円」という額は、所得税法上の「基礎控除」の金額(48万円)に関係している。

所得が48万円までに収まっていれば基礎控除の対象となるため、「課税対象となる所得」の発生はない。

しかし、48万円を超えると「課税対象となる所得」が発生するから、確定申告が必要となる。

確定申告の方法

確定申告の方法には、主に以下の3つの方法がある。

それぞれの方法をみていこう。

①確定申告書等作成コーナーを利用する

国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用した場合の、申告の流れは以下のとおりだ。

STEP
入力に必要な書類の準備

FX取引の損益計算書や経費に関する領収書、マイナンバーカード、医療費控除、配当所得の資料などを準備する。

STEP
作成方法の選択

新規で作成する際には「作成開始」を。過去のデータを利用する場合は「保存データを利用して作成」を選択する。

STEP
提出方法の選択

申告書の提出方法は、e-Taxによる電子送信か、印刷して税務署に郵送または持参する方法があるので選択する。

STEP
申告書の作成

画面の案内に従い、必要な情報を入力して申告書を作成する。

STEP
申告書の提出

②確定申告用のサービスを利用する

会計システム会社などが提供する確定申告用のソフトやアプリを利用して、申告書を作成し提出することもできる。

STEP
アプリまたはソフトのインストール

代表的なサービスには、マネーフォワード、freee、弥生などがある。

STEP
入力に必要な書類の準備
STEP
ガイドに従って入力

多くのアプリは、収入や経費を正確に入力すれば、納税額が自動で算出される。

STEP
データの確認と保存

確定申告書の内容を確認し、必要があれば修正する。

STEP
申告書の提出

e-Taxを通じて電子提出、または、印刷して書面で税務署に提出する

③申告用紙に手書きする

インターネット環境がない場合や、デジタルツールに不慣れな場合でも、申告用紙に記入して提出しよう。

STEP
申告用紙の入手

税務署で直接受け取るか、国税庁のサイトからダウンロードして印刷する。

STEP
記入に必要な書類を準備
STEP
申告用紙への記入

FX取引に関しては、雑所得の欄に取引による利益やスワップポイントなどを記載し、経費として認められる項目を差し引いて課税所得を算出する。金額の計算ミスや書き漏れがないように注意し、丁寧に書き込んで確認した後、忘れずに署名捺印する。

STEP
申告書の提出

直接税務署に持参するか、郵送で行う。郵送の場合は、申告期限までに税務署に到着するよう、余裕をもって発送すること。

確定申告を行う際の注意点

確定申告を適切に行うことは、トレーダーとしての一つの重要なリスク管理である。以下の注意点を守って、確実にすすめよう。

  • 申告期限を守ること。期限は原則として翌年の3月15日までで、これを過ぎると延滞税や加算税が課される
  • 申告する内容に不足や誤りがあると、追加納税やペナルティの発生がある
  • 領収書や取引明細、経費の証明書類は最低でも5年間保管する義務がある。税務調査の際に提出できるよう、確実に保管しておくこと
  • e-Taxを利用し提出する場合は、マイナンバーカードまたはID・パスワード(事前に税務署で取得)が必要

税金を納付するタイミング

確定申告書を提出したら、所得税の納税期限である3月15日までに納税を済ませる。このタイミングは、基本的に確定申告の提出期限と同じだ。

税務署から納付書や納税通知書が送られてくることはない。自分で納税方法を選択して納める必要がある。

納税の方法には、以下のような方法がある。

  • 銀行口座からの自動振替
  • e-Taxを使ったダイレクト納付
  • インターネットバンキングによる納付
  • クレジットカードでの納付
  • コンビニエンスストアで納付
  • 金融機関や税務署の窓口での納付

なお、住民税は、前年の所得に基づいて市区町村が税額を決定する。翌年の6月以降に通知が来るので、それに基づき支払う。

  • 給与所得者の場合、住民税を「特別徴収」として給与から自動的に差し引く方法を選択できる。この場合は、自分で納税の手続きを行う必要はない
  • 普通徴収を選択した場合、市区町村から納付書が送付され、それに基づいて納税を行う。通常は、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納めることが多い。

確定申告を忘れても「期限後申告」ができる

FX取引で損失が発生した年に確定申告を忘れてしまった場合でも、後から申告することは可能である。この場合、「期限後申告」として取り扱われる。

  • 利益が出た場合
    • 利益が出ているにもかかわらず期限内に申告をしなかった場合、納付すべき税金に加え、「無申告加算税」や「延滞税」が課される。税務署からの調査前に自発的に申告すれば無申告加算税は5%、調査後に申告した場合は10%が加算される。
  • 損失が出た場合
    • 損失の場合は、期限後申告をしても納付すべき税金がないため、無申告加算税や延滞税が発生しない。また、損失を申告すれば、その損失を次年度以降に繰り越して相殺できる。

たとえば、2023年にFX取引で損失を出して申告を忘れたときは、2024年に申告すれば良い。

この場合、2023年の損失を3年間繰り越して、今後の利益と相殺することが可能となる​。

  • 参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁 

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FXは損失が出た時も確定申告をしよう

前のセクションで、「損失の場合は、期限後申告をしても納付すべき税金がない」と述べた。よって、確定申告が必要になるのは、所得が一定以上になった場合だ。

しかし、損失が出て「確定申告が必要ではない」場合でも、確定申告をすることで得られるメリットがある。

主に、以下のようなメリットだ

  1. 損益通算ができる
  2. 繰越控除ができる

順番に確認していこう。

メリット1 損益通算ができる  

FX取引で出た損失は、同じ年に行った「先物取引に係る雑所得等」との損益通算ができる。利益を損失と相殺することにより、課税所得を減少させられるかもしれない。

たとえば、複数のFX口座で店頭または取引所取引をしている場合、A社の利益とB社の損失は相殺できる。

また、以下のような取引所で行うデリバティブ取引とも、損益通算できる。

  • 商品先物取引(現金決済型先物取引、商品指数先物取引など)
  • 株価指数先物取引
  • 有価証券先物取引
  • オプション取引
  • CFD(差金決済取引)

たとえばFX取引で100万円の利益が出ている年に、CFDで80万円の損失を出した場合は、課税対象は20万円(100万円-80万円)となる。

100万円から20万円に減らせるため、納税負担も軽減できる。

一方で、以下のような取引では、損益通算はできない。

  • 預貯金や公社債の利子
  • 上場株式の譲渡所得および配当所得等
  • 暗号資産取引から生じた所得
  • 海外FX業者を利用した取引からの所得
  • 参考:No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例|国税庁 

メリット2 最大3年間は損失を繰り越せる(繰越控除) 

FX取引の損失は、確定申告をすることで、翌年以降3年間にわたって繰り越せる(損失の「繰越控除」という)

たとえば、2021年に損益通算後の損失が140万円だったとする。この場合、2021年は赤字なので課税されない。

そして、翌年以降の3年間は、この2021年に発生した損失を繰り越せるのである。

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2021年(0年目)2022年(1年目)2023年(2年目)2024年(3年目)
損失▲140万円+40万円+50万円+60万円
課税対象(繰越控除前)なし40万円50万円60万円
繰越損失なし▲140万円▲100万円▲50万円
課税対象なし0010万円
翌年に繰越可能な額▲140万円▲100万円▲50万円0
(出典:アドバイザーナビ株式会社)
  • 損失を出した年(例:2021年)に、必ず確定申告を行うこと。このとき、この損益通算の規定の適用を受けようとする年分の確定申告書に、この規定の適用を受けようとする旨を記載する必要がある
  • 損失を繰り越している期間(例:2022年〜2024年)は、毎年確定申告をする

「もれのない経費計上」は節税につながる

損益通算と繰越控除は、正しい納税の方法であると同時に、「節税」の方法でもある。

必要経費の計上も、一つの節税方法だ。計算や証憑書類を整理するなどの手間はかかるが、その分支払うべき税金を減らせる可能性が出てくる。

見落としがちなのが、費用のうち「FX取引に直接関係する部分があるもの」だ。

たとえば以下に挙げた費用例なら、按分計算を行うことで、FX取引に関係する経費として認められる可能性がある。

  • 自宅の一部をFX取引に使用している場合の家賃や光熱費
  • 兼用のパソコンやスマートフォンの購入費・通信費
  • インターネット利用料(使用時間の30%がFX関連)

経費として認められるかどうかの最終的な判断は、税務署が行う。

そのため、支出がFX取引に直接関連していることを合理的に説明できるよう、領収書や証憑は必ず保管しておくことが重要だ。

必要であれば税務署や税理士に相談し、慎重に判断しよう。

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FXで税金負担を軽くしたいなら適切に経費処理をして確定申告するのがオススメ!

FX取引にかかる税金を適切に抑えるには、経費を正確に把握し、確定申告すると良い。

FX取引に関連する経費を適切に計上することで、課税所得を減らせるし、損失があった場合の「損益通算」や「繰越控除」などの制度は、正しく利用すれば節税にもつながるからだ。

節税は確かに嬉しいが、もっとも良いのはFXで確実に利益を上げることだろう。

スプレッドやスワップポイントで有利な条件の提示がある口座を選ぶことで、長期的な利益も期待できる。

当メディアでは、取引コストが低い優良なFX口座をたくさん紹介している。

こうした記事を参考に賢くFXを始め、着実に資産を積み上げていく大きなチャンスをつかんでいただきたい。

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この記事を書いた人

株式会社ABCash Technologiesは、「お金の不安に終止符を打つ」をミッションに掲げる、金融教育ベンチャーです。「お金の不安」をなくし、豊かな人生を送れるきっかけを提供するため、2018年6月より個人向け金融教育サービス「ABCash」を展開しています。ABCashは、パーソナル講師が1人1人に合わせてトレーニングメニューを提案し、家計管理〜資産形成に必要な金融リテラシー習得をマンツーマンで伴走サポートするサービスです。2024年より、金融メディア「ABCashマネポス」を展開しています。

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