- 退職金を受け取ったが、預金と運用のどちらにすればいいかわからない
- 退職金の運用におすすめの投資先が知りたい
- 退職金の運用について相談できる先を教えてほしい
退職金を預け入れるのは、銀行だけと思ってしまっていないだろうか。日本銀行の統計(金融機関の店頭表示金利の平均)では、2026年2月の普通預金は年0.239%、1年の大口定期(1,000万円以上)は年0.336%だった。老後の生活資金に退職金を充てるなら、預入先をよく検討することが大切だ。
この記事では、退職金の資産運用について解説する。
退職金をもとに、なぜ資産運用しなければならないのかの理由や、おすすめの預入先を紹介する。投資における注意点も詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみて欲しい。
\退職金を安心して運用したい人へ/
退職金の基本的な預け先は「銀行」

退職金を受け取ると、多くの人が銀行に預けていることだろう。
銀行に預ける方法として3つの方法が挙げられる。
- 普通預金
- 定期預金
- 退職者専用定期預金
それぞれの特徴やメリット・デメリットを紹介する。
普通預金
銀行の普通預金に退職金を預けると、いつでも引き出せるメリットがある。生活費の引き落としなど口座間でお金を動かさずにすむメリットが挙げられる。
一方で、低金利が続く近年では、預け入れた退職金を増やせる期待が持てないことはデメリットだ。
適用される金利は変動金利のため、金利が改訂されるたびに、新しい金利が適用される。
定期預金
定期預金に退職金を預ける場合は、利息の扱いが「複利」となる商品もある。少しでも利息を積み上げたいなら、利息の扱い(複利かどうか)を確認して選ぶとよい。
複利とは、利息で増えた金額が元本となるため、次に利息がつくときは、増えた元本に対して利息がつく。
効率良く利息が増えていくため、退職金の増加に繋がるメリットがある。
一方で、定期預金を途中で引き出すためには、途中解約が必要だ。
定期預金を解約すると、金利は中途解約利率が適用されることになり、退職金を預けたときまでさかのぼって利息が再計算されてしまう。
退職金を定期預金に預けるときは、生活費などで取り崩す必要のない金額を計算してから、預入する必要があるため、注意しておきたい。
退職者専用定期預金
一部の金融機関では、退職金受取者向けの定期預金を取り扱う場合があり、通常の定期預金に比べて金利を上乗せするなどの条件が設定されることがある。
なお、商品によっては、退職金受取後の申込期限が設けられることがある。
また、預入期間が定められることがある。満期後の取扱い(自動継続や適用金利など)は商品によって異なる。
退職者専用預金は、すべての銀行で取り扱っているわけではないため、利用したい人は事前に取扱銀行を確認しておくと良い。
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退職金の預け先として「資産運用」も考えよう

退職金は受け取ったらそれだけで終わってはいけない。
もちろん、退職金の使い道がある人も多いだろうが、銀行へ預け入れる予定がある退職金があるなら、資産運用も視野に入れておく必要がある。
退職金の資産運用が必要な理由や具体的なシミュレーションを紹介するので、退職金を受け取るまでに、受け取り後の対応方法を検討しておこう。
退職金運用の必要性
退職金の資産が必要な理由は、人生100年と呼ばれるほど、退職後の人生が長いことにある。厚生労働省の令和6(2024)年簡易生命表では、平均寿命(0歳の平均余命)は男81.09年、女87.13年だ。
退職の年齢によっては、公的年金の受給開始時期(原則65歳)に達していないケースもあり、少しでも老後の資産を確保しておく必要があるからだ。
退職金を受け取った老後は、現役時代に比べ、収入が少なくなるため、退職金を取り崩して生活費に充てる人は非常に多い。
銀行に預けても、預貯金金利が低水準で推移する局面では、利息だけで退職金を大きく増やすのは難しい。老後資金づくりでは、退職金の一部を資産運用に回すかどうかも含め、選択肢を整理しておきたい。
退職金だけでは本当に足りない?
65歳で2,000万円の退職金を受け取ったとき、毎月10万円ずつ取り崩す場合、何歳で退職金の寿命が尽きるか考えてみよう(利回りは年率で単純化した試算)。
| 退職金の運用可否 | 退職金の寿命 |
|---|---|
| 運用なし | 82歳 |
| 3%で運用 | 88歳 |
| 5%で運用 | 98歳 |
※上表は、毎月10万円(年120万円)を取り崩す前提を年換算し、年率3%/5%で運用できた場合の単純試算である(毎年年初に120万円を取り崩す想定、年齢は端数を繰り上げ)。
退職金を運用せず取り崩してしまうと、82歳で、退職金は尽きてしまう。
一方、運用で収益が得られれば、取り崩し期間が長くなる場合があるため、長い老後生活を助ける役割を果たしてくれる。
しかし、預貯金金利が低水準の局面では、銀行への預け入れだけでは資産運用になるとは限らない。
そのため、退職金の資産を育てるためにも、預け先をよく考えて資産運用することが大切だと言える。
資産運用でおすすめする投資先とは?
退職金の資産運用におすすめする投資先は、以下の4つが挙げられる。
- 株式投資
- 投資信託
- 債券投資
- 不動産投資
株式投資や投資信託は、NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、低い金額からでも資産運用が可能だ。
定期的な配当金が期待できる株式投資は、企業が資金調達のために発行する株式を購入する方法だ。
リスクの高い株式投資が心配なら、投資先の運用をプロに任せられる投資信託もある。
株式や債券など、さまざまな運用商品を用いて資産形成を目指せる特徴がある。投資信託では、分散投資によってリスクを抑えることを目指せる商品もある。
比較的値動きの小さい運用を重視するなら、債券投資という選択肢もある。国や企業は、資金を調達するときに、発行する借用書のようなもので、償還期限が満期になるまで利息が支払われる。
債券は、満期まで保有し、発行体が利払い・償還を行う限り元金の回収が見込める一方、株式や投資信託などと同様に、預貯金と違って元本割れのおそれがある。
不動産投資には、家賃収入を得る投資と、不動産投資信託(REIT)などを通じて不動産に投資する方法がある。
収入を得るためには、賃貸に出す物件を購入する必要があり、初期費用が高額となる。
一方、不動産関連の株式投資(REIT)なら積み立てで資産運用ができるため、退職金を取り崩すペースを調整しやすい。
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自分に合った退職金の預け先を選ぶ方法と注意点

退職金を預け入れるときは、預け先の選び方が大切なポイントだ。
ここからは、おすすめの退職金の運用方法や預け先の選び方を紹介する。資産運用を行うときの注意点も解説するので、資産形成を目指す際は覚えておいてほしい。
おすすめの運用方法
退職金を運用するときは、長期の運用かつ分散投資が大切だ。
資産運用で退職金を活用するにあたって、金額が大きくても、短期間では大きな運用成果は難しいと言えるだろう。
逆に、短期の資産運用では損失を出してしまう可能性もあるため注意しておきたい。
資産運用は、長期で行うことで、短期的な値動きの影響を受けにくくなる場合がある。損失を防ぐためにも、短期的な運用成果ではなく、小さな運用成果を長く継続することが大切だ。
また、一極集中となる投資先は、損失が出たときに、資産が大きく目減りしてしまう可能性がある。
株式や投資信託を選ぶなら、反対の値動きをする現物投資などに、分散投資しておくことも大切だ。
一方が値下がりしても、分散投資で、特定の資産の値下がりによる影響を抑えられる場合があるからだ。
資産運用において、長期の運用と分散投資は、基礎中の基礎と言っても過言ではない。退職金を守るためにも、ぜひ覚えておいて欲しい。
預け先の選び方
退職金の資産運用で、預け先を選ぶときは、まず退職金をどのような運用をしたいか、目的を明確にすることが大切だ。
資産運用なら、長期の運用がおすすめだが、人によっては短期で運用したいと言う事情を持つ人もいるだろう。
いつまでに資産運用の成果を出したいのかなど、目的を明確にし、ニーズに合った預け、先を選ぶことが大切だ。
ただし、預け先によっては、大きなリスクを伴うことがある。預け入れる退職金が、どこまでリスクを負えるのか、許容範囲を決めておくと、預け先を選びやすくなる。
資産運用の目的や期間だけでなく、許容できるリスクの範囲も事前に確認しておくと良い。
資産運用における注意点
資産運用では、短期的に見ると、値動きの幅が大きく下落する可能性もある。
値上がりすれば、資産が増えるが、下落は大切な退職金を目減りさせたり、失ったりしてしまう可能性がある。
退職金は、全てを資産運用するのではなく、許容範囲となる金額を決めてから、運用先を探すことが大切だ。
相場の動きに振りまわされることなく、冷静な判断で相場の動きを確認するようにしたい。
2008年のリーマンショックでは、様々な相場が大きく下落した。その後の相場の動きは一様ではなく、回復までに時間を要することもある。
一時的な下落があったとしても、冷静な判断と将来の見通しを踏まえ、感情だけで預け先の変更をしないように注意しておきたい。
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退職金の運用はプロに相談しよう

退職金を資産運用するとき、専門的な知識がなければ、最適な運用先を決めるのは困難だ。
そこで、目的に合わせた資産運用先を決めるときは、資産運用のプロに相談することをおすすめする。
ここでは、プロに相談するメリットと、退職金を運用する際はぜひ相談してみて欲しい。
退職金の預け先をプロに相談するメリット
退職金を資産運用するとき、目的に合った預け先を選ぶことが大切だ。
しかし、ニーズや目的に合わせた資産運用方法は、知識を持つだけでは、適切な運用先を選ぶことが難しい。
知識だけでなく、豊富な経験や運用実績をもとに検討することが求められる。
資産運用のプロなら、投資に精通した知識だけでなく、様々な経験と情報をもとに、適切な投資先を選ぶ術を持っている。
プロ目線で、相談者のニーズに合わせた資産運用方法をアドバイスしてくれるため、大切な退職金を損なうことなく運用できるメリットがある。
自分自身で、資産運用の知識を身につけることは大切だが、運用方法を決めるときは、プロへの相談が大切だ。
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資産運用の相談先は?
資産運用の相談をできる窓口は複数ある。なかでも、3つの相談窓口がおすすめだ。
- 証券会社
- FP(ファイナンシャルプランナー)
- IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
それぞれの特徴や相談できる内容を紹介する。資産運用の相談をするときは、ニーズに合わせた窓口を選ぶことをおすすめする。
証券会社
証券会社は、投資のプロフェッショナルが集う相談窓口だ。取り扱っている金融商品は多く、退職金の資産運用をするなら、証券会社への相談もおすすめだ。
ただし、証券会社では、自社で取り扱っている金融商品を提案することが一般的だ。
取り扱っていない商品は、どんなにニーズに合致していてもアドバイスしてもらえない可能性がある。
退職金の運用方法や投資商品の知識を、ある程度身につけ、事前に証券会社で取り扱う金融商品を確認してから相談することをおすすめする。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)は、お金に関わる相談ができる窓口だ。
FPには、2つの種類がある。
企業に属しているFPは、生命保険の外交員や不動産に努める会社員のように、自社で販売する商品を取り扱っている。
一方、独立系FPは、企業に属さず取り扱っている商品もないため、中立な立場でお金のアドバイスをしてくれるお金のプロだ。
資産運用や保険、税金や年金、不動産など幅広い相談が可能だ。家計と照らし合わせつつ、資産運用の相談をしたいならFPの相談窓口をおすすめする。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、資産運用に特化した専門家の相談窓口だ。
企業に属していないことから、中立で専門的な立場のアドバイスが期待できる。金融機関と提携していることもあり、相談から手続きまで一貫した相談が可能となる。
退職金の資産運用方法や目的から、最適な運用方法は人それぞれ異なる。自分だけの最適な投資先をアドバイスしてほしい人には、IFAへの相談がおすすめだ。
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退職金をどこに預けるべきか迷っているならまずはプロに相談を

かつて、退職金の置き場所は銀行の預貯金が当たり前だった。
だが、長引く低金利下では、老後資金を有効に活用するために、わずかでも利回りの高い預け先を選ぶことが重要だ。
近年は生活費の確保を目的に資産運用を選ぶ人もいるが、運用にはリスクの正しい理解と分散の徹底が必要である。
とはいえ、最適な投資先を見極める作業は、知識だけでは難しい場面が多い。
退職金の寿命を延ばし、最適な運用方法を知るためにも、専門家へ相談してみよう。
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参考・出典
- 日本銀行『Average Interest Rates Posted at Financial Institutions by Type of Deposit (Monthly)(預金種類別の店頭表示金利:月次)』(更新日:2026-02-18)
- 厚生労働省『令和6(2024)年簡易生命表を公表します』(公表日:2025-07-25)
- 日本年金機構『老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額』(更新日:2025-04-01)
- 金融庁『「基礎から学べる金融ガイド」「基礎から学べる金融ガイド 学習補助資料」の改訂について』(公表日:2023-12-26)
- 金融庁『基礎から学べる金融ガイド』(公表日:2023-12-26)
- 金融庁『令和6年以降のNISA制度について』(公表日:2023-07-17)


