- 債券投資をするためにどんな種類があるのか知りたい
- 債券を選ぶときのポイントが知りたい
- 自分の運用目標に合った債券を選びたい
債券投資の安定性や定期的な利子に魅力を感じ、債券投資を始めたいと考える人も多いだろう。
しかし、債券は種類が豊富であるため、自分の運用目標に合った債券の選び方や買い方がわからないこともある。
この記事を読んでいただくことで、債券の種類や選び方、債券投資のメリット・デメリット、債券投資の情報をどこで入手すれば良いかがわかるはずだ。
債券投資のやり方を知りたい人は、ぜひ最後まで読んで欲しい。
おすすめの前に|債券の種類を全て紹介

おすすめの債券を紹介する前に、まずは債券の基本を解説する。
債券の種類は以下の観点で分類できる。
通貨
通貨には、大きく分けて国内債券と外国債券がある。さらに、外国債券には先進国債券と新興国債券がある。
円建て債券は元本の払い込みや利息・償還金も円で支払われるのが特徴だ。通貨は円であるため、為替変動の影響を受けることはない。
また、外国債券のうち先進国債券は、先進国であるアメリカやフランス、イタリアなどが発行している債券である。
先進国債券は経済が比較的安定しているため、新興国債券よりは安全性は高い。
しかし、為替変動リスクや金利による価格変動リスク、ほかにもその国の政治・経済の動向によるカントリーリスクなどがあることも忘れてはいけない。
外国債券では米ドルやユーロを始めとする海外の通貨と日本の通貨の価値によって、利益や損失が発生する。
外国債券を持っている場合、円安になれば利益となるが円高になれば損失が発生する仕組みとなっている。
さらに、新興国債券は先進国債券と比較してカントリーリスクが高いとされている。
新興国とはアジアや中南米諸国などを指し、経済成長が見込まれる一方で通貨の相場が変動しやすいためリスクが大きいとされている。
新興国債券は大きなリターンを狙えるが、リスクも国内債券や先進国債券よりも高いことに注意が必要である。
発行体
債券の発行体は債券を発行している主体となっているもので、発行体によって国債・地方債・社債に分類される。
それぞれの発行体は以下の通りだ。
債券の種類 | 発行体 |
---|---|
国債 | 国 |
地方債 | 地方公共団体 |
社債 | 事業法人 |
利率
債券の利率とは、その債券の額面の金額に対して毎年受ける利子の割合のことだ。債券における3つの利率について説明する。
- 固定利付債
- 変動利付債
- ゼロクーポン債
固定利付債は確定利付債とも呼ばれ、定期的に一定額の利子が支払われる。
支払われる期間は年に1回または2回で、発行時の契約に基づいて支払われるものだ。
また、満期償還時になると、額面金額で償還金が支払われる。ほとんどの債券は固定利付債で、表面利率は償還されるまで変わらないのが特徴だ。
一方、変動利付債とは、市場の動きや金利水準にによって利率が変動する債券だ。
最後に、ゼロクーポン債はその名の通り、利子(クーポン)がない。
利子がない代わりに額面からあらかじめ一定額を割り引いた金額で発行される。そして、満期日には額面の全額が償還されるため、その差額で利益を狙える仕組みとなっている。
オプション
オプションの債券には3つのものがある。以下で、それぞれを説明する。
- 劣後債
- 転換社債
- コーラブル債
劣後債は、企業によって発行される社債のうちのひとつである。
劣後債では高い利回りが設定されているが、発行した企業が倒産した場合に元本や利息の支払いの順位が普通社債や借入金よりも後になるのが特徴だ。
転換社債は一定の条件によって発行体の企業の株式に転換できる新株予約権がついた債券である。
普通社債よりも金利が低く、資金調達をしたい企業にとってもコストを下げられるメリットがある。
コーラブル債は満期になる前に償還できる債券であり、「期限前償還条項付債券」とも呼ばれている。
債券の期限前に償還されてしまう可能性があるのが投資家のリスクであるため、利率(クーポン)は高めに設定されている。
債券を選ぶときのポイント

債券にはさまざまな種類があるが、実際に選ぶときにはどのようなポイントに注意すれば良いのだろうか。具体的には、下記の3つがそのポイントとなる。
- 利率
- 格付け
- 償還期限
以下では、それぞれをどのように見ていけば良いのかを解説する。
債券の利率を確認することが必要
債券の利率は、基本的に発行体の信用力や発行する際の金利水準によって決められることが一般的だ。
したがって、債券投資を成功させるためには、一定の金額で入ってくる利率が目標水準に達しているかを見ていくことが重要である。
また、あわせて定期的に入ってくるかも確認しておきたい。
ほとんどの債券では定期的に入ってくるが、なかには定期的に入ってこない代わりに最初に割り引かれて発行される債券もある。
投資家は債券の購入前に利率を確認し、どちらが良いかを判断する必要があるだろう。
格付けを確認する
次に、自身のリスク許容度に応じた商品がどうかを見極める指標の一つが「格付け」である。
「格付け」とは、債券の発行体の信用力や支払い能力に応じて、格付け機関という第三者がランク付けしたものだ。
格付け機関はひとつではなく、格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)など複数ある。
高格付けの債券は信用度が高く、安定した投資になるが、利率は低めである。
一方、低格付けやオプション付き債券は利率が高いが、その分リスクも高くなるため、その特性を理解した上で選ぶ必要がある。
利率がリスクに見合ったものかを確認し、自身のリスク許容度に見合った債券を選ぼう。
償還期限に注意
将来的に使用用途が決まっている資金を債券投資する際は、償還期限に特に注意する必要がある。
債券は、株などに比べて流動性が低く、途中で売却することが難しい場合がある。
また、仮に途中で売却できたとしても、債券価格が下落している可能性が高いため、損失を被ることもある。
そのため、子供の入学金など、あらかじめ支出のタイミングが決まっている場合は、その時期までに償還する債券を選ぶと良いだろう。
おすすめの債券を紹介

債券には多くの種類があるが、そのなかで自分に合うものがどれなのかがわからない人もいるだろう。
以下では、債券の種類とおすすめのポイントや銘柄を紹介する。どれが良いかわからずに迷っている人は、ぜひ参考にして欲しい。
個人向け国債
個人向け国債とは、政府が個人でも購入できるようにした国が発行体となる「国債」のひとつである。個人向け国債は証券会社や銀行、郵便局などで購入可能だ。
個人向け国債は半年ごとに利子が支払われ、満期日になると元本が全額戻ってくる。
そのため、個人向け国債は元本割れがなく安定して運用したい投資初心者にもおすすめだ。
個人向け国債のおすすめの銘柄は以下の3つだ。
- 3年 固定金利型
- 5年 固定金利型
- 10年 変動金利型
どのタイプも1万円と少額から投資ができるのが安心して購入できるポイントだ。
10年 変動金利型は金利が一定ではない点に注意したい。ただし、初回適用利率は決まっている。
米国債
米国債は、アメリカ合衆国政府が発行する国債である。
米国債は取引の規模が世界最大であるため、流動性と信用力が高いのが特徴だ。また、2024年1月時点で米10年債の利回りは約4%と、利回りが高いのもおすすめのポイントだ。
楽天証券やSBI証券の専用サイトや、金融機関の担当者に問い合わせると買付可能である。
また、米国債に投資する方法の一つに、ETFがある。おすすめの銘柄は以下の3つだ。
- iシェアーズ 米国債1-3年 ETF
- iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF(為替ヘッジあり)
- iシェアーズ・コア 米国債7-10年 ETF
債券型ETFとは、上場投資信託のことである。取引所が開いている時間であればいつでも取引が可能である点や、手数料が安い点がおすすめだ。
また、為替ヘッジとは為替変動による損益を回避するもので、為替変動によるリスクを避けたり軽減できるのが特徴だ。
米ドル建ての債券
米ドル建ての債券は、利払いや元本の償還や払い込みなどを米ドルで行う債券である。
米ドル建て債券では発行体や発行場所、通貨はいずれも海外であり、国内の取引にはない。
米ドル建ての債券は流動性が非常に高いのが特徴で、海外ならではの高金利で運用できるのがメリットだ。
また、為替差益を狙うことも可能であるとともに、円安のリスクにも備えられる。
米ドル建ての債券でおすすめの銘柄は以下の3つだ。
おすすめの発行体
- アップル
- トヨタ モーター クレジット コーポレーション
- インテル
米ドル建て債券は、有名企業が発行しているものも多い。少額でなく、まとまった金額で米ドル建て債券に投資したい場合は、米国にある有名企業へ投資するのも良いだろう。
他の通貨の債券
米ドル建て債券は高い信用力が最大の魅力である。取引量が世界最大の基軸通貨となっているため、安定した通貨といえる。
しかし、為替には変動リスクがあるため、常に米ドルが最も強い訳ではなく、為替によってその価格は変動する。
したがって、リスクを最小限に抑えるためには、他の通貨の債券に分散投資するのもおすすめだ。外貨建て債券を選ぶときには、発行体の信用力の高さで選ぶと良いだろう。
外貨建て債券では、償還時に円安になっていることで為替差益が得られる。逆に、償還時に円高になっていると損失が出てしまう。
価格は現在の経済状況を表しているため、債券の償還日が先であればあるほど、償還日が訪れたときの経済の状況を予測するのが難しくなるだろう。
また、同じ期間であっても通貨によって対円騰落率が異なる点にも注意したい。
米ドルだけでなく、他の通貨の債券も幅広く視野に入れることで、選択肢が増えるといった意味でもおすすめだ。
債券投資で海外の高金利を狙いたい人は、投資したい通貨や国の状況や利回りなどを調べたうえで、自分に合った通貨の外貨建て債券を選んでみてはどうだろうか。
他の通貨の債券でおすすめの銘柄は以下の3つだ。
- 世界銀行(AUD)
- 国際金融公社(AUD)
- フランス国債(ユーロ)
外貨建て債券の種類はかなり多いため、正しい情報を得たうえで運用していこう。
債券投資のメリット・デメリット

資産運用のひとつである債券投資のメリット・デメリットはそれぞれどのようなものがあるのだろうか。
以下では、ほかの資産運用と比較するためにも把握しておきたい、債券投資のメリット・デメリットをそれぞれ詳細に解説する。
債券投資のメリット
債券投資は、株式や投資信託と並ぶ主要な投資商品であり、安定した収益とリスクの低さを特徴としている。
特に、投資初心者や安全性を重視した資産運用を考えている人にとって、債券投資は魅力的な選択肢となるだろう。
以下では、債券投資の2つのメリットについて詳しく解説する。
購入時から利益を計算しやすい
債券投資の大きな魅力の一つは、購入時に利益が予測できる点だ。
債券投資は定められた利率で定期的に利息が支払われ、満期になれば元本が変換される。
そのため、購入時に予めおおよその利益が予測できるのだ。
よって、安定収益を求める人や安定性を求める人におすすめの運用方法である。
比較的安全性が高い
もう一つのメリットは、他の投資商品と比べて安全性が高いことだ。
債券は発行体が元本と利息の支払いを保証しているため、信用リスクが低い場合は元本割れの可能性が低くなる。
そのため、発行体の信用力をきちんと見極めれば、安定的な運用ができるだろう。
債券投資のデメリット
債券投資は安全性や流動性が比較的高く、銘柄も豊富でおすすめの金融商品だ。
しかし、安全性が高いように思える債券投資にも、デメリットは必ずある。リスクがゼロではなく、場合によっては利益が得られないことに注意したい。
以下では、債券投資の3つのデメリットについて詳しく解説する。
債券はインフレに弱い金融商品である
債券投資は定期的に利子が支払われたり、償還日に元本が戻ってきたりすることから安全性の高さを求める人に向いている。
しかし、その債券は株式投資とは逆でインフレに弱い金融商品であるという特徴も押さえておきたい。
急激なインフレ下では、保有している債券の利回りがインフレ率を下回る可能性もある。
例えば、年利2%の債券を保有していても、インフレ率が3%であれば実質利回りは-1%となり、資産の価値が実質的に目減りしてしまう。
したがって、お金の価値が下がってしまうインフレが進んでいるときには注意が必要な商品である。運用状況や市場環境を考慮して、定期的に保有商品の見直しを行うと良いだろう。
発行体の信用力によっては支払い不能に陥る可能性がある
債券投資には、債務不履行リスクというリスクがある。債務不履行はデフォルトとも呼ばれる。
基本的には、債券投資では決まった月に利子が支払われ、償還時には元本が支払われる。
しかし、債券の発行体となる国の財政悪化や企業の倒産などによって、約束通りに支払いができなくなることもある。
このような事態を避けるためにも格付けを十分に確認することをおすすめする。
外貨では為替差益が生じる
外貨建て債券を購入する際は、為替差益の影響に注意が必要である。
為替差益とは、購入時と償還時、または売却時の為替レートとの変動によって生じる利益や損失のことである。
例えば、ドル建て債券を購入した際に円安が進むと、為替差益により円換算での受取額が増える一方で、円高になると損失が発生する可能性がある。
ただし、円に変えなければ、為替差益は確定しないため、万が一円高になった時には外貨のまま運用を続けてみても良いだろう。
債券投資のおすすめ情報はどこで入手できる?

債券投資は投信や株とは異なり、おすすめ情報を入手するのが難しい。その情報収集をどこで行えばよいのか、3つの方法を説明する。
債券投資の情報収集はなぜ難しいのか
債券投資の情報収集は、なぜ難しいのだろうか。特に、海外の債券は情報収集の難しさが指摘されている。
株では最新情報が日々更新されているが、債券は基本的に定期的な利子と償還日の償還金の支払いのみであるため、情報が少ないともいえる。
また、海外の債券は日本語でなく英語やほかの言語でのニュースで情報を得なければいけないため、さらに情報収集が困難だ。
しかし、債券投資を検討しているなら情報がない状態で安易に投資するのは危険だ。必ず情報を得ながら債券投資を行うようにしよう。
債券投資をしたい人におすすめの3つの情報収集方法
債券投資をしたい人におすすめの情報収集方法は3つある。その方法とは下記の通りだ。
- ネット検索
- YouTube
- 専門家に相談
以下で、ひとつずつ詳しく確認してみよう。
ネット検索
ネット検索では、証券会社などによる情報が発信されている。また、最近では投資家によるSNSでの発信も多く、それを参考にする人もいるだろう。
ただし、ネットでの情報には正しい情報もあれば間違った情報もある点に注意したい。その情報源が正しいのか、最新情報なのかはきちんと裏付けを取る必要がある。
YouTube
YouTubeはさまざまな情報が無料で得られるため、非常に便利である。投資家によるYouTubeチャンネルもあるが、最も参考になるのは証券会社のYouTubeチャンネルだ。
また、YouTubeは海外のニュースも見られるため、動画の配信日に注意しながらニュースも参考にしたい。
日々の情報を得るだけでなく、債券投資の基礎知識を深めるためにも無料で学べるYouTubeはおすすめだ。
専門家に相談
債券投資の情報収集を行いたい人に最もおすすめなのは、最新情報を持っている専門家に相談することだ。
ネット検索やYouTubeでは情報が得られるかもしれないが、自分に合った銘柄がわからなかったり、細かい疑問点が解決しなかったりするデメリットもある。
知識豊富な専門家に相談することで、知識を身につけながら債券投資ができるだろう。無料相談を行っている専門家も多いため、まずは一度相談してみてはどうだろうか。
安定的な運用ができる債券投資がおすすめ

債券投資は安定的な運用ができるため、資産運用の初心者や投信だけに投資している人の分散投資としてもおすすめだ。
債券を選ぶときは、通貨・発行体・利率・格付け・償還期限などをよく確認することがポイントだ。
また、債券には個人向け国債や米国債、米ドル建ての社債など多くの種類があるため、自分に合った債券が見つかるはずだ。
ただし、債券は投信や株とは異なり、公開されている情報が少ない点に注意したい。
債券投資の情報を得たい人におすすめなのが、資産運用のプロに相談することだ。
ネット上には出回っていない銘柄が見つかる可能性も高いため、迷っている人はプロに相談しよう。