MENU

新NISAは30代から始めるべき!おすすめの運用戦略と毎月の投資額を徹底解説!

この記事で解決できるお悩み
  • 30代が新NISAで運用するべき理由を教えてほしい
  • 30代が新NISAで運用するときのおすすめ方法を教えてほしい
  • 30代は新NISAで毎月いくら積立投資すべきか教えてほしい

30代で同年代の友人や同僚から、新NISAをはじめたという声を耳にすることも多いのではないだろうか。

実は30代はNISA口座を積極的に開設している年代だ。旧NISAの2020年代初頭から急速に30代のNISA口座(一般NISA・つみたてNISA)の開設数は伸び続けている。

2020年代末まで30代のNISA口座数は(一般NISAとつみたてNISAの合計)150万口座を下回っていたが2024年現在6月時点のデータで約349万口座と2倍以上にまで増えている。

30代の新NISAに対する関心は非常に高い状況だ。しかし、「本当に新NISAは30代に必要なのか?」「必要だとしてどう運用するのか?」「積立投資をするなら毎月いくらするべきなのか?」など、疑問に持つことも多いだろう。そこで、本記事では30代が気になる新NISAに関するポイントを解説する。

  • 参考:日本証券業協会:NISA口座開設・利用状況調査結果 (2023年9月30日現在)について
  • 参考:NISA口座の開設・利用状況 (2024年6月末時点)

目次

30代は今すぐ新NISAで運用を始めるべき!

30代で新NISAの必要性を薄々、感じていても「今すぐやるべき?」「もっとお金に余裕が出てからでも遅くはないのでは?」と思って、運用を後回しにしている人も多いのではないだろうか。

もちろん、投資は余剰資金で行うべきで投資に回す余裕資金がなければ仕方がない。

しかし、家計の支出を見直してでも今すぐ新NISAで運用をはじめた方が良い。理由は大きく分けて3つある。

  • 投資は早くはじめた方が有利
  • 非課税の恩恵を利用しない手はない
  • ライフイベントに備えるため

それぞれ確認してみよう。

投資は早くはじめた方が有利

長期投資をする場合、投資は早くはじめた方が有利だ。

以下は金融庁の提供しているシミュレーターで毎月1万円を想定利回り3%で運用し続けた場合の試算結果だ。

参考:金融庁 つみたてシミュレーター 目標金額2,000万円 想定利回り3% 毎月の積立金額1万円で計算
運用期間運用収益
10年目4万円
20年目88万円
30年目223万円
40年目446万円

あくまでもシミュレーション上の結果だが、毎月1万円の積立でも運用期間が長いほど後半の伸びが大きくなることが分かる。

もし1年でも運用が遅れてしまうと後半に大きく伸びる分を享受できなくなってしまう。

 1年間の運用益の差額
10年目と11年目4万円
20年目と21年目10万円
30年目と31年目18万円

毎月1万円、想定利回り3%の試算でも長期投資となると後半になればなるほど1年間の遅れでかなり差がついてしまうことが分かる。

あくまでもシミュレーション上の結果ではあるが、資産運用は早めに始めたほうが有利だ。

非課税の恩恵を利用しない手はない

通常、資産運用では譲渡益にも配当金・分配金にも税金がかかる。

例えば、確定申告の必要がない源泉徴収ありの特定口座なら譲渡益、分配金・配当金に対して20.315%が課税されてしまう。

しかし、新NISAによる運用益は課税されない。この非課税のメリットは非常に大きい。

長期投資と言っても市況やライフイベントなどの変化でポートフォリオ(投資先の組み合わせ)をリバランスしたり、投資先を変えたりすることも考えられる。

その際にせっかく運用益が出ていても課税されてしまうと、再投資に回せる額が減ってしまい複利効果を十分に活かせない。

しかし、新NISAで運用する場合は課税されないため、リバランスや運用戦略の見直しがあっても複利効果を活かしやすい。

単に資産運用の出口で税金がかからないからお得というだけでなく、運用期間中の複利効果を十分に活かせる点でも新NISAをやらない手はない。

ライフイベントに備えるため

ライフイベントで特に大きな出費とされるのが以下の3つだ。

  • 教育費
  • 住宅費
  • 老後資金

教育費なら公立か私立か、文系か理系なのかで大きく変わる。住宅費も都心か地方かの差が大きい。

老後資金に給与に関しても年金の種類や退職金次第で必要となる額に大きな差が出る。いくら必要になるのかは個人差が大きい。

30代ともなるとこれらのライフイベントを意識した人生設計が必要になる。

20代までは目先の家計の収入と支出のバランスが取れていれば良いが、30代以降になるとライフイベントを意識した資産形成も視野に入れておかないと家計がうまく回らなくなったり、将来の老後資金が全く足りなったりという状況に陥りかねない。

ライフイベントを乗り切るためにも早めに新NISAを始めた方が良いだろう。

30代はまず新NISAのつみたて投資枠から始めよう

新NISAを始めると言っても「仕組みがよく分からない」「成長投資枠とつみたて投資枠どちらを選べばよいのか迷う」「投資先はどこが良い?」など様々な疑問が出てくるのではないだろうか。

結論から言えば最初は「つみたて投資枠」から始めるのがおすすめだ。30代の投資家がつみたて投資枠を活用する際におさえておきたいポイントを以下の3つの観点から解説する。

  • 新NISAとつみたて投資枠のおさらい
  • つみたて投資枠を活用するべき理由
  • おすすめの投資対象

それぞれ確認してみよう。

新NISAとつみたて投資枠のおさらい

新NISAとつみたて投資枠の概要をおさらいしてみよう。

スクロールできます
 成長投資枠つみたて投資枠
年間投資枠240万円120万円
非課税保有期間無期限無期限
非課税保有限度額合計1,800万円
ただし成長投資枠の上限は1,200万円まで
投資対象上場株式、投資信託など・整理・管理銘柄・信託期間20年未満・毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託は除外長期・積立・分散投資に適した金融庁の基準を満たした投資信託
対象年齢18歳以上18歳以上
参考:金融庁

旧NISAの一般NISAとつみたてNISAが統合されて現在の新NISAの形となった。

つみたて投資枠では毎月10万円(年間で120万円)まで金融庁の基準を満たした投資信託に投資可能だ。

旧NISAのつみたてNISAが年間40万円だったことを考えると十分な額を投資できるようになったと言えるだろう。

成長投資枠の方が個別株にも投資できたり、つみたて投資枠で投資できない投資信託に投資もできたりと自由度は高い。

しかし、成長投資枠の非課税保有限度額の上限は1,200万円までとなっている。

一方、つみたて投資枠なら最大1,800万円まで投資でき非課税保有限度額を最大限活かせる仕様だ。

成長投資枠を活用するにしても、つみたて投資枠を活用しなければ非課税保有限度額を限度いっぱいまで使えない。

成長投資枠を使うにしても、使わないにしても新NISAを最大限、活用するにはつみたて投資枠の利用が必要だ。

つみたて投資枠を活用するべき理由

つみたて投資枠と成長投資枠、新NISAではどちらも自由に投資できる。そのため、どちらを使うべきか迷ってしまうかもしれない。

しかし、30代で新NISAをはじめて利用するなら、つみたて投資枠から優先的に活用すると良いだろう。理由は3つある。

  • 長期・積立・分散投資に最適
  • 手数料(信託報酬)が低い商品が選ばれている
  • 少額から無理なく始められる

まず、資産運用初心者が取り組むなら長期・積立・分散の3つを組み合わせた運用戦略が基本だ。

長期投資は複利の恩恵を受けられ、収益も長い目で見ると安定する。

積立投資は時間分散の効果があり、極端な高値づかみをしても安値で買えた分で平均購入単価を抑えることができる。

分散投資は性質の異なる投資先を組み合わせることで日々の価格変動の振れ幅を抑えたり、特定の投資先に万一のことがあっても損失を限定的にできたりする。

リスクを手堅く抑えた運用ができるため、投資初心者におすすめだ。

つみたて投資枠は金融庁が認めた長期・積立・分散に適した投資信託にしか投資できない。

一見、投資先が制限されていることに不自由さを感じるかもしれない。しかし、金融庁が最初から以下の基準で投資するべき商品を精選してくれているとも言える。

  • 毎月分配型ではない
    • 毎月分配型は複利の恩恵を得づらいため資産形成に不利
  • 販売手数料は0%、信託報酬は低水準
    • コストは低い方が資産形成に有利
  • ヘッジ目的以外のデリバティブ取引の運用を行わない 等
    • デリバティブはリスクが高い
  • 参考:金融庁 NISAを利用するみなさまへ

つまり、つみたて投資枠の投資対象に投資をしておけば、低コストで長期・積立・分散投資が自然にできる制度設計となっている。

また、積立投資は少額からでも無理なく始められる。最初はつみたて投資枠を埋めるところから始めると良いだろう。

おすすめの投資対象

つみたて投資枠の投資対象は対象資産別に分けると以下のように分けられる。

結論から述べると指定インデックス投資信託(パッシブ運用の株式投信)が30代の投資家にはおすすめだ。

スクロールできます
 特徴
【おすすめ】
指定インデックス投資信託
パッシブ運用の株式投信 代表的な指数に連動させる運用
例えば米国のS&P500や日経平均、MSCI ACWI(先進国と新興国の株式で構成された指数)MSCIコクサイ(日本を除く先進国で構成された指数)などに連動
指定インデックス投資信託以外の投資信託
(アクティブ運用投資信託等)
アクティブ運用の投資信託 指数を上回ることを目指した運用
債券も含んだバランスファンドも含まれる
上場株式投資信託
(ETF)
上場株のように取引可能
参考:金融庁 つみたて投資枠対象商品届出一覧 2024年10月24日版

つみたて投資枠で選べる投資信託の種類だけでも実に多種多様だ。

株式の代表的なインデックスに連動するタイプの投資信託、インデックス以上の運用成績を目指すアクティブ型の投資信託、債券も含まれたバランスファンドなどがあり迷ってしまうだろう。

ただ、比較的、若い世代でもある30代は働くことで得られる収入もあるため、リスク許容度に関しては少し高くても高めのリターンが見込める株式のみで構成された投資信託がおすすめだ。

現在、投資家に人気なのはパッシブ運用型の株式投信だ。

大手ネット証券のSBI証券のランキング(2024年12月)を確認してみると上位3位は全てパッシブ運用のインデックス型の投資信託で占められている。

SBI証券 販売金額ランキング

  • 1位
    • 三菱UFJ-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • 2位
    • 三菱UFJ-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • 3位
    • SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
  • この3つは全てつみたて投資枠対象
  • 参考:SBI証券 販売金額ランキング

インデックス型が人気の理由は以下の3つだろう。

  • 信託報酬がアクティブ運用より低め
  • ほとんどのアクティブ運用がパッシブ運用に勝てない
  • 過去の運用益が概ね右肩上がりで推移してきたこと

投資信託を保有するにはコストがかかるが、インデックスファンドはアクティブファンドに比べて信託報酬が低く抑えられている。

例えば人気の「eMAXIS Slim 全世界株式」の信託報酬は税込で0.05775%と非常に低く抑えられている。

また、S&Pダウ・ジョーンズの公式サイトでも示されているように、世界各地でS&Pの指数をアクティブ運用が上回れていない現実がある。

また、MSCI ACWIやS&P500などの株価指数は概ね右肩あがりで上昇し続けてきたことも、投資家の自信につながっているだろう。

このような背景もあるため、アクティブ型が悪いわけではないが、最初は指定インデックス投資信託から検討してみてはいかがだろうか。

30代は新NISAで毎月いくら積み立てる?

新NISAで毎月いくら積立投資をするかも悩むポイントだろう。

結論から言えば毎月、いくら積立するべきかどうかは人それぞれのリスク許容度や目標リターン、家計の状況などによって決まるため一概には言えない。

そこで、毎月いくら積み立てをするかを決めるための考え方を紹介する。毎月、いくら積み立てるかを自分で考えてみてほしい。

余剰資金の範囲内で無理のない額

前提条件として投資は余剰資金の範囲内で行うのが原則だ。

仮に家計的に収支がマイナスだったり、日々の生活費や支払いに追われて投資をしたら家計が成り立たないという状況だったりするなら無理にする必要はない。

その場合は投資ではなく先に家計の収支の見直しからはじめるべきだ。

家計の収支で余剰資金が出てきたら日々の生活費や先々の支払いに必要な費用などを控除し、少しずつ投資資金を捻出していこう。

ケースごとにシミュレーションしてみよう

同じ運用期間、同じ対象に積立投資をしても月々の投資額次第で運用結果はかなり変わる。

運用額を決める際には額次第でリターンがどの程度、変わるかも考慮するべきだ。

例えば年利3%、期間35年でも毎月、いくら投資するかで運用結果はここまで変わる。

スクロールできます
 元本運用収益将来の運用資産額
毎月3万円1,260万円965万円2,225万円
毎月5万円2,100万円1,608万円3,708万円
毎月10万円4,200万円3,216万円7,416万円
参考:金融庁 つみたてシミュレーター

同じ運用期間、年利でも積立に毎月回す額で、運用収益と将来の資産額にかなりの差が出ることが分かる。

将来、目指す運用資産額や収益に応じて毎月、どこまで投資に回すかも考えてみると、より具体的な積立額が見えてくるだろう。

少額からでも始めることが重要

余剰資金ができたら少額からでも新NISAをはじめてみよう。つみたて投資枠の良いところは少額からでも投資ができるところだ。

例えば主要ネット証券なら100円からでも始められる。

少額であったとしても実際に投資をはじめてみることで、どのような投資信託があり、どのように買い付けができるのか、日々どのように資産が増減するのかを経験できる。

実際に投資を経験してみることで気づくことがたくさんあるはずだ。家計に余裕が出てきたら少しずつ投資に回す額を増やしていけばよい。

30代は新NISAの成長投資枠も併用しよう!

つみたて投資枠を活用できる余裕ができたら、成長投資枠の併用も検討してみよう。

特に30代はまだ若くリスク許容度を多少、高めてリターンを高める運用戦略を取りやすい年代だ。成長投資枠もうまく活用することで資産運用の戦略や幅が広がる。

  • 成長投資枠の特徴
  • 成長投資枠を活用するべき理由
  • どんな商品に投資をするか

この3つの観点から成長投資枠の併用について解説する。

成長投資枠の特徴

スクロールできます
 成長投資枠つみたて投資枠
年間投資枠240万円120万円
非課税保有期間無期限無期限
非課税保有限度額合計1,800万円
ただし成長投資枠の上限は1,200万円まで
投資対象上場株式、投資信託など・整理・管理銘柄・信託期間20年未満・毎月分配型、デリバティブ取引を用いた一定の投資信託は除外長期・積立・分散投資に適した金融庁の基準を満たした投資信託
対象年齢18歳以上18歳以上
参考:金融庁

成長投資枠とつみたて投資枠の違いはいくつかあるが、一番の違いは自由度の高さだ。

投資先は、つみたて投資枠と異なり個別株の投資も可能。選べる投資信託やETFの種類もつみたて投資枠よりも種類が多く年間投資枠よりも大きい。

また投資の仕方も積立に限らず、例えば年初に一括投資できるなど様々な買い方ができる。

非課税保有限度額が1,200万円までに抑えられているが、この自由度の高さと運用益非課税の恩恵を組み合わせることで投資戦略の幅が広げられる。

自由度が高い反面、投資初心者には扱いが難しいところもあるが、上手く使えば、より効率的な運用ができるだろう。

成長投資枠を活用するべき理由

成長投資枠を活用するべき理由は以下の3つだ。

  • 投資先の選択肢が豊富なので運用戦略が広がる
  • 個別株で高いリターンも狙える
  • つみたて投資枠の代わりに、さらに積立ができる

つみたて投資枠では対象外でも成長投資枠なら投資できるという商品も多い。

例えば、金価格に連動した投資信託やETFは、つみたて投資枠では投資できないが成長投資枠なら投資対象にできる。

つみたて投資枠だけでは実現できなかったポートフォリオを組んで非課税で運用できる点は成長投資枠を使うメリットだ。

また、個別株投資ができる点も成長投資枠の強みだ。個別株投資は銘柄を選ぶ際に業績をはじめ様々な観点から投資先を選ぶのが難しいかもしれない。

しかし、俗に大化け株、テンバガーなどと呼ばれる銘柄を引き当てて投資できれば、分散投資では得られない高いリターンを非課税で実現できる。

そして、成長投資枠はつみたて投資にも活用できる。成長投資枠でつみたて投資枠で投資している商品と同じものを買うこともできる。

つみたて投資枠だけだと毎月10万円までしか投資できないが、成長投資枠も使うことで10万円以上の積立投資を非課税の恩恵を受けながらすることも可能になる。

なるべく早めに新NISA全体の非課税保有限度額を埋めてしまいたいという人なら、成長投資枠も使った積立投資も選択肢となるだろう。

どんな商品に投資をするか

どんな商品に投資をするかは運用戦略次第だ。

スクロールできます
 特徴
インデックスファンド指数に連動。
信託報酬は低め。
アクティブファンド指数を超えるパフォーマンスを目指す。
信託報酬は高め。
個別株式分散しないとリスクは高め。
銘柄選び次第で高いリターン。

それぞれの特徴を理解してリスク許容度と目標リターンに応じた投資先を限られた成長投資枠の範囲内でいかに投資するかを考える必要がある。

つみたて投資枠と同じインデックスファンドに投資をして、月々の積立額を増やしたり、信頼できるアクティブファンドで高いリターンを狙ってみたり、ハイリターンが狙えそうな個別株投資で非課税の恩恵を最大限に活かしたりと投資先次第で様々な運用ができる。

つみたて投資枠だけでは物足りないという30代投資家は、成長投資枠で資産運用の幅広さと可能性に挑戦してみるのも良いだろう。

30代が新NISAで運用するときの注意点

30代が新NISAで資産運用をする際には以下の注意点を守ってほしい。

新NISAは資産運用を効率よく進められる制度だが、使い方を間違ってしまうと、思わぬ損や後悔につながりかねない。特に注意してほしいのは以下の3つだ。

  • 損益通算・繰越控除ができない
  • 過度なリスクをとらない
  • 余剰資金以上の投資は控える

それぞれ確認してみよう。

損益通算・繰越控除ができない

NISA口座と課税口座の損益通算ができない点に注意しよう。

損益通算とは複数の口座の間で利益と損を合算できる制度のことだ。

例えば、ある課税口座で100万円の売却益を出して別の課税口座Bで30万円の損失が出たら差し引き70万円の利益のみが課税対象となる。

しかし、NISA口座で仮に30万円の損失が確定し、課税口座で100万円の利益が出たとしてもNISA口座の損失を差し引くことができない。

つまり課税口座の100万円の利益全てに税金がかかってしまう。なお、NISA口座の中でも損益通算はできないので注意してほしい。

またNISA口座は繰越控除もできない。課税口座の場合、仮に年間トータルで50万円損をしたら確定申告をすれば3年間マイナス50万円を翌年の利益から差し引くことができる。

例えば、翌年に課税口座で100万円の利益が確定しても繰越控除で去年の損失を差し引けるため50万円分の利益にしか税金がかからないことになる。

しかし、NISA口座だとこの繰越控除もできない。このようにNISAで損失が確定してしまうとデメリットが大きい点に注意しよう。

過度なリスクをとらない

30代は他の年代に比べると比較的、リスク許容度を高くできる年代だ。しかし、過度なリスクは取らないでほしい。

投資は元本保証されていない。長期・積立・分散投資をしていてもリスクを完全になくすことはできない。分散投資をしていても取り除けないシステマティックリスクも存在する。

例えば、過去のリーマンショックのように株式市場全体が大きく下げてしまう局面が今後、起こらないとも言い切れない。

特に資産クラスを株式に集中している場合は、分散が効いたインデックスファンドでも、ただではすまないだろう。

大きく元本割れしている状況で資金が必要になり売却を余儀なくされてしまうこともあるかもしれない。適度なリスクは取っても良いが過度なリスクテイクは控えよう。

余剰資金以上の投資は控える

投資は余剰資金の範囲内で行おう。新NISAの年間投資枠も無理に全て使い切ろうとしなくてよい。

余剰資金以上の投資を無理にしてしまうと家計が回らなくなったり、必要な支出に対応できなくなったりする。

資産運用はあくまでも日々の生活や将来をより良くするための手段に過ぎない。もし、余剰資金に余裕がなければ無理に投資をする必要はない。

もし、余裕がなければ投資を無理にする前に家計の見直しをして収入と支出のバランスから見直してから新NISAに取り組むと良いだろう。無理のない範囲で新NISAを活用してほしい。

30代が新NISAを始めるときはプロに相談しよう

30代で新NISAを本当に上手く活用できるか不安に感じた人も多いのではないだろうか。

自信があったとしても独りよがりになっていないだろうか。もし、30代で新NISAにこれから挑戦するならプロに相談することをおすすめする。

プロに相談するメリット

30代と言っても金融資産の額や職業の安定性、リスク許容度、今後のライフイベントの有無など条件は様々だろう。

そのため新NISAを活用するといっても、それぞれ目指すべきリターンやとるべきリスクなど最適な運用方法は異なる。

プロに相談すれば、一般論ではなく個々に応じた具体的な新NISAの運用方法が明確になるはずだ。

自分一人では判断できないこと、本当に判断が正しいか自信が持てないこともあるだろう。そんなときにプロの助言は頼りになる。

それぞれの相談先の特徴

新NISAの相談ができるところ、それぞれの相談先の特徴を以下にまとめた。

スクロールできます
 メリットデメリット
銀行総合的なサービスが充実
普段使っている銀行窓口なら相談しやすい
資産運用の商品の選択肢は少ない
営業方針に縛られた提案をされることもある
証券会社豊富な資産運用のラインナップ
資産運用に対する高い専門性
店頭の証券会社は慣れていないと相談に行きづらい
営業方針に縛られた提案をされることもある
IFA
(独立系ファイナンシャルアドバイザー)
中立な立場からの顧客本位の提案
提携先の金融機関の商品を幅広く取り扱える
IFA法人によって専門知識や運用方針がバラバラ
FP家計に関するお金全般の相談をしやすい金融商品の取次や売買の仲介ができるとは限らない

銀行は総合的なサービスに強み、証券会社は専門的な資産運用のノウハウや商品の豊富さに強みがある。ただし、営業方針にアドバイザーが縛られてしまい顧客本意の提案をしづらくなることもある。

IFAは独立系ファイナンシャルアドバイザーまたは金融商品仲介業者のことで特定の金融機関に属さないため、営業方針に縛られづらい立場で提案できる強みがある。

大手ネット証券と提携しているIFAなら新NISAで選べる商品も豊富だ。ただし、IFAと言っても専門知識や営業方針など、それぞれ多様なので適したIFAを探すのは難しいかもしれない。

FPはファイナンシャルプランナーのことで、ライフプランの作成や家計の収支の見直しなどが得意だ。

ただし、個別具体的な商品の紹介や注文の取次などはできない。相談だけしたいという場合は独立系のFPに相談するのも良い。

家計の収支見直しと商品の提案や注文の取次まで丸ごと相談するなら銀行や証券会社、IFAでFPの経験や資格があるアドバイザーを探すのも手だ。

新NISAを30代で始めるならプロに相談してみよう

30代で新NISAに取り組んでいる人は、近年増えている。

余剰資金の範囲内でなるべく早めにはじめた方が有利なので、まだ取り組んでない人は少額でも良いのですぐにはじめることをおすすめする。

最初はつみたてNISAで長期・積立・分散投資がおすすめだ。30代ならリスク許容度を少し高めて株式中心のインデックスファンドがおすすめだ。

余裕があれば成長投資枠を活用するのも良いだろう。

そして、新NISAを始める前にプロに相談するのがおすすめだ。プロに相談すれば一般論ではなく、あなたの状況に応じたアドバイスをしてもらえるはずだ。

この記事を書いた人

株式会社ABCash Technologiesは、「お金の不安に終止符を打つ」をミッションに掲げる、金融教育ベンチャーです。「お金の不安」をなくし、豊かな人生を送れるきっかけを提供するため、2018年6月より個人向け金融教育サービス「ABCash」を展開しています。ABCashは、パーソナル講師が1人1人に合わせてトレーニングメニューを提案し、家計管理〜資産形成に必要な金融リテラシー習得をマンツーマンで伴走サポートするサービスです。2024年より、金融メディア「ABCashマネポス」を展開しています。

目次