- インデックスファンドが正解?アクティブファンドのメリットも知りたい
- 自分に合うのはインデックスファンドとアクティブファンドのどちらなのか
- インデックスファンドとアクティブファンドのおすすめ銘柄が知りたい
初心者に対する投資の入り口として投資信託がおすすめされるケースは少なくない。
しかし「インデックスファンド」と「アクティブファンド」の違いや、選択の基準について頭を悩ませることも多いだろう。
インデックスファンドとアクティブファンドはそれぞれに特徴があり、投資家の目的や状況によって最適な選択は変わってくる。
自身が理想とする投資信託への投資が行えるよう、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで投資先を選択しよう。
本記事では、両者の特徴や違いやおすすめの投資信託を解説する。
インデックスファンドが正義?アクティブファンドはダメ?

近年、投資信託市場において「インデックスファンドこそが正しい投資方法である」という主張が強まっている。
実際、世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏も、一般投資家向けにはインデックスファンドを推奨している。
アクティブファンドはインデックスファンドに比べて劣っているのだろうか。それぞれのファンドの特徴を詳しく見ていこう。
インデックスファンドとは
インデックスファンドは、特定の市場指数(インデックス)に連動することを目指す投資信託である。
日経平均株価やTOPIX、S&P500などの指数に連動するよう運用が行われる。
運用担当者の主観的な判断を極力排除し、指数を構成する銘柄を同じ比率で保有することで、市場と同程度のリターンを目指すのが特徴だ。
このような運用手法は「パッシブ運用」とも呼ばれており、運用コストの低さと安定性から、近年では世界的に注目を集めている。
特に日本国内においても、確定拠出年金(DC)や積立投資における重要な選択肢となっている。
アクティブファンドとは
アクティブファンドは、運用担当者が独自の分析と判断に基づいて投資先を選定する投資信託である。
市場分析や企業調査を綿密に行い、割安な銘柄や成長が期待できる銘柄を見出すことで、市場平均を上回るリターンの獲得を目指す。
運用担当者の専門知識と経験が重要な役割を果たし、市場の変化に応じて機動的なポートフォリオの調整を行う。
この投資手法は「アクティブ運用」と呼ばれており、運用コストは比較的高くなる傾向にあるが、優れた運用者のファンドは市場を大きく上回るリターンを実現することもある。
インデックスファンドとアクティブファンドの違い

ではインデックスファンドとアクティブファンドの間には具体的にどのような違いがあるのだろうか。
この両者には「運用方針」「運用コスト」「リターンリスク」の3点において違いが顕著に表れる。
以下で、これらの違いについて詳しく解説する。
運用方針
インデックスファンドは、市場指数の動きへの連動を最優先する。ポートフォリオは指数構成銘柄の変更があった場合にのみ調整される。
対するアクティブファンドは、市場環境や個別企業の状況に応じて運用担当者が柔軟に投資判断を行い、頻繁にポートフォリオの組み換えを行う。
運用コスト
インデックスファンドは機械的な運用を行うため、信託報酬は年率0.1%程度と低く抑えられている。
一方、アクティブファンドは運用担当者の人件費や調査費用などがかかるため、年率1.0%を超えるよう設定されるのが一般的だ。
リターンリスク
インデックスファンドは市場の動きに連動するため、大きな超過収益は期待できないものの、市場平均を大きく下回るリスクも限定的という側面を持つ。
一方のアクティブファンドは、市場平均を上回るリターンを目指す分、運用担当者の判断次第では市場平均を下回るリスクも高くなる。
インデックスファンドとアクティブファンドはどちらが優れているのか
ではインデックスファンドとアクティブファンドはどちらが優れているといえるのだろうか。
結論から言えば、投資家の方針次第ということになる。
前述の通り、インデックスファンドは市場平均を下回るリスクが限定的であるため、新NISAやiDeCoといった資産形成を目的とした制度を利用する人にとっては、資産を目減りさせない運用をしてもらいたいものだ。
一方で大きなリターンを求めて投資を行うなら、より大きな成果を求めて運用するインデックスファンドが適している。
いずれを選択するとしても、投資目的と期間、リスク許容度、投資コストへの考え方などを勘案する必要がある。
時にはいずれか一方を選択するのではなく、両方への投資をポートフォリオに組み込む選択肢もとり得るだろう。
インデックスファンドとアクティブファンドはどちらがおすすめ?

インデックスファンドとアクティブファンドは、それぞれに適した投資家層が存在する。
ここでは、それぞれのファンドが向いている投資家の特徴と、効果的な組み合わせ方について解説する。
インデックスファンドが向いている投資家
長期的な資産形成を目指す投資家には、インデックスファンドが適している。特に以下のような特徴を持つ投資家は、インデックスファンドを重視したポートフォリオが推奨される。
まずは、投資コストを重視する投資家である。長期投資においては複利効果が大きくなるため、わずかな手数料の差が資産形成に大きな影響を及ぼす。
また、市場の効率性を信じ、運用担当者が継続的に市場を上回るのは難しいと考える投資家にも適している。
さらには、投資の手間を最小限に抑えたい投資家にもインデックスファンドがおすすめである。
アクティブファンドが向いている投資家
アクティブファンドは、特に以下のような投資家に適しているといえる。
まず、市場平均を上回るリターンを積極的に追求したい投資家である。
また、特定の地域や業界、テーマに注目して投資したい投資家にとって、投資方針に適したファンドが多いのもアクティブファンドだ。
加えて、市場の非効率性に着目し、優れた運用担当者の判断力を評価する投資家にも適している。
ただし、運用担当者の能力次第では、利益が減るだけでなく損失を発生させるリスクも大きくなる。そのため担当者の実力を見極める目利き力が求められる点には留意すべきだろう。
両方に分散投資する選択肢も
ここまで2種類のファンドの特徴を紹介してきたが、いずれか一方だけに投資を集中させる必要はない。
投資の基本原理は分散・長期・積立にあることに基づき、両者を組み合わせた分散投資が効果的といえる。
多くの投資家が採用しているのは、ポートフォリオの中心にインデックスファンドを置き、一部をアクティブファンドで運用するという分散方法だ。
この場合、インデックスファンドで市場平均のリターンを確保しつつ、アクティブファンドで追加的なリターンを狙うことができる。
バランスは個々の投資家の方針次第だが、ひとつのファンドに集中させず、さまざまな特徴をもつファンドに分散投資する方針を推奨したい。
インデックスファンドとアクティブファンドのおすすめ銘柄ランキング

ここでは、インデックスファンド・アクティブファンドそれぞれの人気の投資信託について、銘柄と特徴を解説する。
インデックスファンドのおすすめ銘柄
第1位:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
先進国から新興国まで、世界中の株式に幅広く投資できる商品である。信託報酬は年率年率0.05775%と極めて低く、少額から投資可能な点が特徴だ。
MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動することを目指しており、一国に偏りきらないグローバルな分散投資を実現できる。
近年では先進国株式市場の上昇に牽引され、5年間で18.54%のリターンを生み出している。
第2位:<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
MSCIコクサイ・インデックスに連動する外国株式ファンド。
日本を含まない主要先進9ヶ国以上の株式で構成されるニッセイ外国株式インデックスマザーファンドを投資対象とする。
信託報酬は年率0.09889%と、インデックスファンドの中ではまずまず。先進国の株式市場に投資する際の基本的な選択肢として人気が高い。
第3位:iFree S&P500インデックス
米国の代表的な株価指数であるS&P500に連動するファンド。信託報酬は年率0.198%とやや高めではあるが、米国経済を牽引する大手企業500社に分散投資できる。
米国株式市場への投資の入り口として適している。リターンは5年で22.63%と非常に好調。
第4位:楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・VTI)
世界最大級の資産運用会社・バンガード社が運用するバンガード・トータル・ストック・マーケットETFへを投資対象とする。
米国の投資可能銘柄のほぼ100%をカバーした株価指数と連動することから、米国経済そのものに投資していると表現出来る銘柄だ。
信託報酬は年率0.132%。やや波はあるものの、5年間で22.04%のリターンを生み出している。
第5位:日経225ノーロードオープン
日本の株式を投資対象とした投資信託。日経平均を構成する225銘柄と関連銘柄のパフォーマンスを対象にした日経平均トータルリターン・インデックスとの連動を目指す。
信託報酬は年率0.55%と、海外銘柄と比べると高め。5年リターンも11.58%に止まるが、海外銘柄への偏りを回避したい投資家の分散投資先として高い人気を誇る。
アクティブファンドのおすすめ銘柄
第1位:日経平均高配当利回り株ファンド
日経平均株価採用銘柄のうち、予想配当利回り上位30銘柄を投資対象とするアクティブファンド。
高配当株への投資というわかりやすさから、新NISAのつみたて投資枠に組み込まれることが多い。
信託報酬は年率0.693%と、アクティブファンドではやや低め。リターンは5年で16.62%を記録している。
第2位:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信
米国成長株のうち厳選された約50銘柄を投資対象としたアクティブファンド。
アマゾン、マイクロソフト、エヌビディア、アルファベット(Google)といった大型IT株が上位を占める。
為替ヘッジや分配金の有無によってA~Eコースに分類されており、投資家が自由に選べるのが特徴。為替ヘッジなしのBコースの信託報酬は年率1.727%と比較的高いが、5年で22.77%のリターンを生むなど、長期的な運用実績は良好。
第3位:米国製造業株式ファンド(USルネサンス)
米国の製造業に関連した株式を実質的な投資対象とするアクティブファンド。
GEベルノバ(電気)、アメテック(電子機器・部品)、カーチスライト(精密機器)といった銘柄の構成比率が高い。
信託報酬は年率1.87%とやや高めであるものの、リターンは5年で23.96%と米国製造業の好調ぶりを反映。テーマ株に挑戦してみたい投資家におすすめの銘柄のひとつである。
第4位:野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)
世界各国の半導体関連企業の株式を主要投資対象とするアクティブファンド。
注目を集める半導体関連企業への投資というだけのことはあり、5年リターンは39.62%と驚異的な実績を誇る。
組入銘柄にはエヌビディア、ボーダーコム、クアルコムといった名だたる大企業が並ぶ。信託報酬は年率1.65%とまずまずの水準。
第5位:iTrustインド株式
インド株式を投資対象とするアクティブファンド。高成長が期待できるインド株ファンドの中でも、新NISAで購入できる唯一の銘柄となる。
信託報酬は年率0.3828%と、アクティブファンドの中では最低水準。購入手数料がかからないノーロード銘柄であるのもうれしい。
5年で18.43%のリターンを生みつつ、米国とは異なる市場に分散投資できる点が魅力のファンドだ。
インデックスファンドとアクティブファンドに関する相談先

投資信託はさまざまな特徴を持つ銘柄が大量に存在する。それらの中から自身に合った銘柄を選択するためには、専門家のアドバイスを受けることが有効である。
ここでは、各相談先の特徴と選び方のポイントを解説する。
主な相談先の特徴と選び方
投資信託に関する主な相談先には「証券会社」「銀行」「IFA」がある。
証券会社は、豊富な商品知識と投資経験を持つアドバイザーが在籍している。
対面での詳細な投資相談が可能で、市場動向や個別銘柄の情報も得られる。ただし、自社商品を推奨する傾向があり、手数料も比較的高めである。
支払う手数料の元を取るつもりで熱心に相談したい方や、長期間腰を据えて担当者と付き合いたい方は証券会社が向いている。
銀行は、安定性と信頼性が高く、保守的な投資アドバイスを受けられる。一般的に長期投資を重視し、リスク管理を重視したアドバイスを行う。
しかし自社商品を推奨する傾向があることに加え取扱商品が限定的で、投資に関する専門性は証券会社より劣る場合がある。
投資信託以外の金融商品も保有したい場合など、資産運用全般の相談をしたいときにおすすめだ。
IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)は、特定の金融機関に属さない独立した立場でアドバイスを提供する金融の専門家だ。
中立的な視点で商品を比較・推奨できる点が特徴。ただし、サービスの質や料金体系は個々のIFAによって大きく異なる。IFAを相談先に選ぶ際には、実績や評判を確認しておきたい。
インデックスファンド・アクティブファンドへの投資は専門家に相談しよう

インデックスファンドとアクティブファンドは、それぞれに特徴があり、一概にどちらが優れているとは言えない。
インデックスファンドは低コストで安定的な運用を目指す一方、アクティブファンドは運用担当者の判断で市場平均を上回るリターンが期待できる。
投資信託の選択には、自身の投資目的やリスク許容度、投資期間、コストへの考え方などを総合的に考慮することが重要である。
また、どちらのファンドを選ぶにしても、専門家に相談することで、より適切な投資判断が可能となる。
きっと経験豊富なアドバイザーが、あなたの状況や目的に合わせた最適な投資プランを提案してくれるはずである。