- なぜ資産運用が必要なのか知りたい
- 初心者におすすめの運用方法が知りたい
- 資産運用するときの注意点が知りたい
「将来が不安だからお金を増やしたい」「でも、投資は難しそうで始められない…」このような悩みを持つ人は少なくないだろう。
実際、人生100年時代と言われる中で、老後資金の準備や資産形成の重要性は年々高まっている。
本記事では資産運用の必要性から具体的な始め方、さらには年代別のおすすめポートフォリオまで初心者にも分かりやすく解説していく。
これを読めば、あなたも自分に合った資産運用をスタートできるはずだ。
なぜ資産運用が必要なのか

老後の生活資金や将来に向けた資産形成において、「預金や年金だけでは不十分」という現実に、多くの人が直面している。
ここでは、資産運用が必要とされる具体的な理由を見ていこう。
今は「人生100年時代」!お金の寿命もあわせて延ばしていこう
平均寿命は年々延びており、現在では「人生100年時代」とも呼ばれている。
医療の進歩により健康寿命も延び、定年後も30年以上の期間を過ごすことも珍しくない時代となった。
しかし、生活の期間が長くなれば、それだけ必要な資金も増えていく。
例えば、毎月20万円の生活費が必要な場合、30年間では7,200万円もの資金が必要となる計算だ。
「でも、生活費や教育費で、お金がなかなか貯まらない……」と悩む人も少なくないだろう。
そこで、主に月々の収入や口座に眠っている資金を少しずつ投資に充てて、10年、20年後のお金を増やしていく「資産運用」が注目されているわけだ。
将来年金だけでは足りない!?老後資金の不足に備える必要あり
まず、2024年度の厚生年金の標準的な年金額(夫婦2人分)は230,483円/月だ。
現役世代の減少と高齢者の増加により、今後は年金支給額の減少や、受給年齢の引き上げが予想されている。
一方で総務省の統計によれば、老後の生活費は無職の夫婦2人で月額250,959円が標準だ。
つまり、年金だけでは月々2万円以上の不足が生じる計算となる。
仮に将来の年金支給額が3万円減少したとすれば、月々の不足額は平均5万円ほど。
30年の老後期間では、この不足額は2,000万円近くにまで膨らんでしまうだろう。
このような「年金と実際の生活費のギャップ」に備えるためにも、資産運用による自助努力が重要となっている。
インフレで現金の実質価値は目減りする!投資でリスクを抑えよう
いま、日本はインフレ時代に入りつつある。
物価上昇により、同じ金額でも購入できる商品やサービスは年々減少していく。
額面の金額が減るわけではないが、実質的なお金の価値は減ってしまうわけだ。
例えば年率2%のインフレが続くと、1,000万円の預金は10年後には実質的な価値が約820万円まで目減りする計算となる。
このインフレリスクに対応するためには、株式や不動産など、物価上昇に強い資産の運用が有効だ。
適切な分散投資によってリスクを抑えながら、インフレに負けない資産形成を目指していこう。
資産運用を始めるきっかけは何?

漠然と「資産運用でお金を増やしたい」と考えている人も多いのではないだろうか。
そこで、当社では独自にアンケートを実施し、みなさんが資産運用をはじめた理由について調査した。
資産運用を始めた理由をアンケート調査してみた
さっそく、当社で789人に実施したアンケート調査の結果を見てみよう。
もっとも多かった回答は「老後資金を貯めるため」で70.72%。
次いで「日々の生活資金のため」が39.54%という結果となった。
選択肢 | 回答数 | % |
---|---|---|
老後資金を貯めるため | 558 | 70.72% |
日々の生活費の足しにするため | 312 | 39.54% |
もともと興味があったから | 261 | 33.08% |
欲しいものを買う資金を貯めるため | 142 | 18.00% |
子供の教育費のため | 142 | 18.00% |
新NISAが始まったから | 106 | 13.43% |
SNSやYouTubeを見て興味を持ったから | 94 | 11.91% |
家族・友人に勧められたから | 72 | 9.13% |
証券会社から提案されたから | 17 | 2.15% |
退職金を受け取ったから | 8 | 1.01% |
その他 | 16 | 2.03% |
「子どもの教育資金のため」も18.0%と、将来の大きな支出に向けた準備として資産運用をする人も多いと分かる。
一方で「新NISAが始まったから」という回答も13.4%あった。
2024年からスタートした新NISAは、より使いやすい制度として多くの人の資産運用のきっかけとなっているようだ。
なお、新NISAについては「新NISAとは?何が変わったの?制度の変更点やおすすめの活用方法を徹底解説!」の記事で詳しく紹介している。
資産運用の目的は「増やす・使う・遺す」の3つ
資産運用の目的は大きく「増やす・使う・遺す」3つに分類できる。
それぞれの目的に応じて、運用方法も変わってくるだろう。
- 増やす
- 老後資金や将来の生活資金として資産を成長させる
- 使う
- 教育資金や住宅購入など、具体的な目的のために準備する
- 遺す
- 次世代に資産を残すための準備をする
これらの目的は、年齢やライフステージによって変化していく。
例えば、20~30代は「増やす」に重点を置き、老後資金の確保や資産の成長を目指す人が多い。
40~50代になると子どもの教育費や住宅購入など「使う」目的が重要になり、計画的な資産形成が必要となってくる。
60代以降は、自身の老後資金を確保しつつ、次世代への資産継承「遺す」も視野に入れる人が増えてくる。
現在の自分にとって何が一番重要な目的なのかをハッキリさせたうえで、それに合わせた運用方法を選ぶとよいだろう。
資産運用をはじめるのは何歳からでも遅くない!まずは少額から気軽にはじめてみよう
資産運用を始めるのに「早すぎる」「遅すぎる」ということはない。
特に20代から始めると、「複利効果」という大きなメリットを得られる。
複利効果とは、投資で得た利益を投資に回すことで、利益に対してさらに利益が生まれる仕組みのことだ。
例えば、年利5%で運用できた場合、100万円の資産は以下のように増えていく。
経過年数 | 利益金額 | 資産額 |
---|---|---|
0年(スタート) | – | 100万円 |
10年後 | 62.9万円 | 162.9万円 |
20年後 | 165.3万円 | 265.3万円 |
30年後 | 332.2万円 | 432.2万円 |
40年後 | 604万円 | 704万円 |
一方、50代からでも決して遅くはない。退職金の運用や老後資金の確保として、10年~20年程度の運用でも十分に意味があるからだ。
なお投資信託なら、月々100円という少額からでも始められる。これは、ペットボトル1本分を節約する程度の金額だ。
まずはこのような少額から始めて、投資に慣れていくのがよいだろう。
初心者でも資産運用に成功するための秘訣

初心者が資産運用に踏み切れない最大の理由は「失敗して資産が減るのが怖い」からではないだろうか。
事実、資産運用は「投資」のため、100%資産が増える保証はない。
しかし、いくつかのポイントを押さえておけば、初心者でも資産運用でお金を増やせる確率は大幅に上げられる。
そこで、初心者でも資産運用に成功するための3つの秘訣を見ていこう
「長期・分散・積立」の3原則を押さえて継続的に投資するのがコツ
初心者が資産運用で成功するためには、以下の3原則を押さえることが重要だ。
- 長期投資
- 短期の値動きに一喜一憂せず、5年、10年という長期で考える
- 分散投資
- 株式や債券など、異なる値動きをする商品に分散してリスクを抑える
- 積立投資
- 毎月一定額を投資し続けることで、無理せず継続する
長期間の投資を前提とし、よほどの暴落がなければ「売り」はせずに複利効果が生じるのを待つ。
そして、分散投資によってこの暴落のリスクを抑える、というのが基本的な資産運用のスタイルだ。
また、積立投資には「ドルコスト平均法」というメリットがある。
株価が高いときは少ない数量を、安いときは多い数量を購入することになり、結果として平均的な価格で投資できる。
「いつ買うべきか」とタイミングを考える必要もないため、初心者でも始めやすい投資方法だ。
「NISA」や「iDeCo」のような税制優遇制度を活用すればお得に資産運用できる
投資の利益には通常20.315%の税金がかかるが、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を利用することで、税制面でのメリットを受けられる。
NISAとiDeCoは、いずれも国が推奨する制度だ。
それぞれの概要や特徴は以下のとおり。
NISA | 投資の利益(売却益・配当金)が非課税 非課税の期間は無期限 つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)を利用可能 いつでも引き出せる |
---|---|
iDeCo | 掛金が全額所得控除となる 運用益が非課税 受取時も税制優遇あり ただし60歳まで原則引き出し不可 |
これらの制度は併用も可能だ。
注意点として、iDeCoには掛金が全額所得控除となるとてつもないメリットがある一方で、原則60歳まで引き出しができない。
そこで、iDeCoで所得控除のメリットを受けながら老後資金を貯め、NISAで教育資金など中期の目標に向けた資産形成を行う、などのイメージで使い分けるのがよいだろう。
自分の目的やリスク許容度に合った「投資ポートフォリオ」を作ってみよう
投資ポートフォリオとは、資産をどのような商品にどれくらいの割合で配分するかの計画のことだ。
目的やリスクの許容度に応じた投資ポートフォリオを作っておけば、それに沿った形で迷いなく投資先を選べる。
投資ポートフォリオは以下の点を押さえて作成しよう。
- 投資の目的(老後資金か、教育資金かなど)
- 投資期間(いつまでに資金が必要か)
- リスクをどこまで取れるか
- 現在の収入や支出の状況
このあと、資産運用におすすめの投資先や、年齢別のポートフォリオの例を紹介する。
資産運用をはじめようと思っている方は参考にして、まずは自分に合ったポートフォリオを作ってみよう。
資産運用でおすすめの投資先一覧

資産運用には、さまざまな投資先が存在する。
それぞれの特徴を理解し、自分の目的に合った投資先を選んでいこう。
ここでは、主要な7種類の投資先の特徴やメリット・デメリットを解説する。
円預金(定期預金)
円預金(定期預金)はもっともリスクが低い運用方法の一つだ。
元本が保証され、定期的に利息が得ることが可能。
最近はメガバンクを中心として金利が上昇傾向にあり、定期預金の金利は年0.02〜0.2%程度となっている。
メリット | デメリット |
---|---|
元本が保証されている 手続きが簡単 預金保険制度で万が一の銀行破産時も預金額が保護される | 金利が低め インフレで実質価値が目減りする可能性が高い 大きな運用益は期待できない |
長期の資産形成には向かないが、緊急時の備えとして3〜6ヶ月分の生活費を預金で持っておくのがおすすめだ。
元本割れは絶対に避けたい資金を少しでも増やしたい人に適している。
外貨預金
外貨預金は円を外国通貨に換えて預ける方法だ。
為替レートの変動で為替差益が期待できる一方、円高になると損失を被るリスクもある。
金利は通貨によって異なり、例えば米ドル定期預金なら年2〜3%程度が一般的だ。
メリット | デメリット |
---|---|
円預金より金利が高め 為替差益が期待できる | 円高時は損失の可能性がある 両替手数料がかかる 預金保険制度の対象外になる |
定期預金より金利が高めなのは大きなメリットだが、為替手数料や為替リスクを理解した上で、資産の一部として取り入れることが望ましい。
保険
保険は本来、リスクに備えるための商品だが、貯蓄性の高い保険商品も存在する。
メリット | デメリット |
---|---|
保障と貯蓄が一体化している 契約時に受取額が確定している(※外貨建てのものを除く) 保険料控除の対象になる 受取時の税制優遇がある | 毎月の保険料が高い 解約返戻金は元本割れの可能性がある インフレ対応が難しい |
保険は資産運用というよりも、「万が一の保障」を重視する人や、税制メリットを活用したい人に向いている。
とはいえ、純粋に「資産を増やす」のが目的であれば、他の金融商品を優先して検討すべきだろう。
債券
債権は国や企業が発行する、借用証書のような性質を持つ金融商品だ。
国が発行するものを「国債」、企業が発行するものを「社債」と呼ぶ。
定期的に利息が支払われ、満期時には元本が戻ってくる。
メリット | デメリット |
---|---|
定期的な利息収入が得られる 価格変動が株式より小さい(社債) 確実に元本が保証される(国債) | 利回りは比較的低め 途中売却時は損失の可能性がある(社債) 最低投資額が100万円~と高いケースが多い(社債) |
安定した定期収入を得たい人や、株式投資のリスクを抑えたい人におすすめ。
特に、退職金の運用など、安全性を重視する資金の投資先として適している。
株式
企業の株式を購入することで、企業の成長による株価上昇(値上がり益)と配当金による収入が期待できるのが株式投資だ。
メリット | デメリット |
---|---|
高いリターンが期待できる 売却益だけでなく配当収入も得られる インフレに強い 少額から始められる | 価格変動リスクが大きい 頻繁な市場動向のチェックが必要 企業が倒産するリスクもある |
長期投資で高いリターンを目指したい人や、インフレ対策として実物資産を持ちたい人におすすめ。
ただし、自分で個別株式を選んでの投資は、市場環境の変化や業績の悪化で多額の損失を生むリスクもある。
投資経験の浅い人は、まずは投資信託での株式投資から始めるのがおすすめだ。
投資信託
投資信託とは、投資家から集めた資金をプロが運用する商品だ。
個別株式への投資とは異なり、自動的に分散投資されるため、大幅にリスクを軽減できる。
月々100円程度から始められるハードルの低さも魅力だ。
メリット | デメリット |
---|---|
月々100円から分散投資できる プロに運用してもらえる 積立投資に対応している 運用中の手間がかからない | 手数料(信託報酬)がかかる 運用成果は保証されるわけではない 商品数が多すぎる |
投資初心者や、時間をかけずに資産運用したい人に特におすすめ。
特に毎月の積立投資を考えている人には、手軽に始められる投資方法として適している。
「まずは少額から始めたい」「仕事が忙しくて時間がない」という人でも、気軽にスタートできるのが特徴だ。
不動産
不動産投資はマンションなどの実物資産に投資する方法だ。
毎月の家賃による定期的な収入が得られ、地域によっては資産価値の上昇も期待できる。
メリット | デメリット |
---|---|
安定した家賃収入が得られる インフレに非常に強い 相続税対策として大きな効果がある | よほどの余剰資金がない限り借入(ローン)が前提となる 売却先が見つかりにくいことがある 空室で収入が途絶えるリスクがある |
家賃により安定的に収入を増やしつつ、インフレ対策がしたい人におすすめだ。
ただし、空室が発生すると収入が途絶えてしまうため、需要の高いエリアや物件選びが重要となる。
なお、通常の不動産投資は高額な初期投資や借入が必要だが、REIT(不動産投資信託)なら数万円から始められる。
REITは、オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産に投資するファンドで、不動産からの賃料収入を投資家に分配する仕組みだ。
株式と同じように売買でき、専門家による物件運営も行われるため、自分で不動産を持つよりも手間がかからない。
リターンは自分で不動産を購入したほうが高くなりやすいが、借入に抵抗がある人はREITを検討してみよう。
年齢別のおすすめ投資ポートフォリオ

年齢によって収入や貯蓄額、将来の目標も変わってくる。
そのため、年代に応じた適切な投資配分を考えることが必要だ。
ここでは、年代別の具体的なポートフォリオ例を紹介しよう。
【20代〜30代のおすすめ投資ポートフォリオ】株式中心の積極投資がおすすめ
若い世代は、長期投資による資産形成が可能なため、株式(投資信託)を中心とした成長重視の運用がおすすめだ。
積立投資を活用することで、コツコツと資産を積み上げていける。
おすすめのポートフォリオは以下のとおり。
投資先 | 配分 | 選定の理由 |
---|---|---|
日本株 | 40% | 為替リスクがないため安定性を上げられる |
米国株 | 60% | 世界最大の株式市場で高成長(インフレリスク軽減)が期待できる |
基本は投資信託での株式投資を中心に、月々の積立投資を行うのがおすすめだ。
余裕があるなら、一部を個別株の運用に回して冒険してみるのもよいだろう。
さらに積極的な運用を目指す場合は米国株の比率を70~80%に高めたり、新興国株式を10~20%組み入れたりすることで、より高いリターンを狙うことも可能だ。
反対にリスクを抑えたい場合は、国内債券や外国債券の比率を20~30%程度組み入れることをおすすめする。
【40代〜50代のおすすめ投資ポートフォリオ】債権を加えてリスク分散を
40代〜50代は子育て・教育資金や住宅ローンなど、支出が多い年代だ。
債権を加えてリスクを抑えながら、着実な資産形成を目指そう。
おすすめのポートフォリオは以下のとおりだ。
投資先 | 配分 | 選定の理由 |
---|---|---|
日本株 | 20% | 為替リスクがないため安定性を上げられる |
米国株 | 50% | 世界最大の株式市場で高成長(インフレリスク軽減)が期待できる |
外国債券 | 30% | 為替差益を期待しつつリスクを分散できる |
積極的な運用を目指す場合は米国株を60%程度まで増やしたり、新興国株式(※)を10%程度組み入れたりするのもよいだろう。
一方、教育資金など使用時期が決まっている資金の比率が高い場合は、債権の割合を50%程度まで高め、より安定的に運用するのがおすすめだ。
- インドなど、ハイリスク・ハイリターンが見込まれる成長中の国の株式
【60代〜70代のおすすめ投資ポートフォリオ】株式と債券の分散で安定性重視
60代~70代は退職金の運用や年金の補てんなど、安定性を重視した資産運用が必要な年代である。
インフレ対策として一定の成長性も意識しつつ、債権比率を高めた分散投資によるリスクの低い資産配分を心がけよう。
おすすめのポートフォリオは以下のとおりだ。
投資先 | 配分 | 選定の理由 |
---|---|---|
日本株 | 20% | 為替リスクがないため安定性を上げられる |
米国株 | 50% | 世界最大の株式市場で高成長(インフレリスク軽減)が期待できる |
国内債券 | 20% | 為替リスクのない安定的な金利収入を得られる |
外国債券 | 30% | 為替差益を期待しつつリスクを分散できる |
積極的な運用を目指す場合は、米国株の比率を40%程度まで高めたり、不動産投資(REIT)を10~20%組み入れたりすることも検討するとよいだろう。
一方、より安定性を重視する場合は、国内債券や外国債券の割合を合計で70%程度まで高めることで、リスクをさらに抑えられる。
60~70代は生活資金の維持を大前提に、「守り」を優先した資産配分を計画しよう。
資産運用のデメリットとよくある失敗

資産運用には大きなメリットがある一方で、注意すべきデメリットもある。
ここでは、失敗を防ぐために知っておくべきポイントを解説しよう。
資産運用の3つのデメリット
以下で、資産運用の3つのデメリットを見ていこう。
元本割れのリスクがある|必ずお金が増えるわけではない
株式や投資信託などの投資商品は、市場環境によって価格が変動する。
例えば、株式市場は企業業績の悪化や世界的な景気後退などの要因で大きく下落するかもしれない。
過去を振り返っても、世界的な金融危機や感染症の流行など、予期せぬ出来事により大幅な下落を記録してきた。
投資は「必ずお金が増える」という保証はないため、必ずリスクを理解したうえではじめよう。
時間と労力がかかる|忙しい人には投資信託がおすすめ
自分で投資先を選び、市場動向をチェックして売買のタイミングを判断するには、それだけの時間と労力が必要となる。
特に株式投資では、企業分析や経済指標の確認など、継続的な情報収集が欠かせない。
時間に余裕がない人は、プロが運用を行う投資信託を中心とした検討をおすすめする。
投資信託なら、最初の商品選定にさえ時間をかければ、あとは時間をかけずに運用することが可能だ。
市場の変動でストレスを抱えやすい|値動きは頻繁にチェックしないのが吉
投資商品の価格は日々変動するため、頻繁にチェックすることでメンタル面での負担が大きくなりがちだ。
特に大きな下落が続く局面では、不安から冷静な判断ができなくなる可能性もある。
長期投資を前提とする場合、日々の値動きにとらわれすぎないことが重要だ。
よほどの下落が起きない限り、「長期・分散・積立」の3原則を守った運用を心がけよう。
資産運用のよくある3つの失敗と対処法
続いて、資産運用のよくある3つの失敗と対処法を紹介する。
同じ失敗を犯してしまわないよう、しっかりとチェックしておこう。
生活資金を投資に回してしまった|投資はあくまで余剰資金で
生活に必要な資金まで投資に回してしまうと、急な出費や相場下落時にお金が足りなくなるリスクがある。
そのため、月々の生活費の3〜6ヶ月分は必ず預金として確保しておこう。
また、旅行や車の買い替えなど、直近で予定されているイベントの費用も別途確保しておくのがポイントだ。
投資に回せる金額は、最低限必要な資金を確保した上での余剰分とすべきだ。
「投資で増やして返せばいい」という考えは、大きな失敗のもとになるだろう。
ハイリターンを求めてハイリスクを冒してしまった|リスク許容度に合ったポートフォリオ設定を
「早く資産を増やしたい」という焦りから、自分のリスク許容度を超えた投資をしてしまうケースがある。
しかし、リスクの高い投資は、それだけ大きな損失を被る可能性も高い。
お金を増やしたくてはじめた資産運用で、生活が立ち行かなくなるほどの損失を生み出しては本末転倒だ。
投資を始める前に、自分がどの程度のリスクまで許容できるかを考え、それに応じたポートフォリオを組んでみよう。
しっかりとポートフォリオに沿って分散投資を行うことで、リスクを適切にコントロールするのが成功への近道だ。
相場を気にし過ぎて売り買いを繰り返してしまう|長期保有に向いた銘柄選びがポイント
相場の上下動に一喜一憂して頻繁に売買を繰り返すと、手数料がかさむうえに、長期的な値上がり益を逃してしまう可能性が高い。
特に、下落時に焦って売却し、上昇時に追いかけ買いをするパターンは要注意だ。
いずれも「そのまま待っていたほうが損をしない」ケースが多い。
こうした失敗を防ぐには、安定した配当が期待できる企業の株式や世界経済の成長を取り込める投資信託など、長期保有を前提とした投資先を選ぶのがおすすめだ。
毎月一定額を投資する「ドルコスト平均法」も活用しながら、相場の変動に振り回されずに資産運用を進めていこう。
資産運用の相談は誰にする?

「資産運用をはじめたいけど、知識がないから自分ひとりではじめるのは怖い……」とお悩みの人もいるだろう。
そこで専門家のアドバイスを受けて、道筋を立ててもらいながら資産運用をはじめるのもおすすめだ。
ここでは、それぞれの相談先の特徴や選び方について解説していこう。
資産運用の主な相談先4つ
資産運用の相談先は、主に「証券会社」「銀行」「FP(ファイナンシャルプランナー)」「IFA(金融アドバイザー)」の4種類だ。
以下の比較表を参考に、自分に合った相談先を選んでいこう。
相談先 | メリット | デメリット | おすすめな人 |
---|---|---|---|
証券会社 | 商品知識が豊富にある 市場分析が充実している | 自社商品中心の提案になりがち 手数料が高め | 投資の実践的なアドバイスがほしい中級者 |
銀行 | 近隣の支店で相談しやすい | 商品がかなり限られる 守りの提案が多めで積極運用には向かない | 預金と組み合わせた運用を考えている人 |
FP | 中立的なアドバイスを提供してくれる ライフプラン全般の相談ができる | 個別の商品提案はしてもらえない 実際の取引はサポートしてもらえない | 資産形成やライフプラン全般の相談をしたい人 |
IFA | 中立の立場から顧客利益優先で提案してくれる 取引まで一貫したサポートも受けられる | 担当者により対応にムラが生じやすい | プロの伴走型サポートを受けたい初心者 |
それぞれの相談先について、個別に詳しく解説する。
証券会社
証券会社は投資商品の品揃えが豊富で、市場分析レポートなども充実している。
株式、投資信託、債券など、幅広い商品の中から自分に合った投資先を選べるのが特徴だ。
市場動向や投資のタイミングなど実践的なアドバイスを得ながら、商品の売買も同時に行えるため、相談から実際の投資までがスムーズに進められる。
ただし多くの証券会社はノルマがあることから手数料収入を重視する傾向があり、比較的コストの高い商品を勧められたり、頻繁な売買を提案されたりする可能性がある。
すでに投資ポートフォリオを自分で作れる程度の知識があり、不利な提案にはNOと言える人に証券会社はおすすめだ。
銀行
銀行は全国に支店網を持ち、普段から利用している身近な金融機関として気軽に相談できるのが特徴だ。
預金や住宅ローン、保険など、総合的な金融サービスと組み合わせた提案を受けられるため、資産形成の全体像を考える上で参考になる。
弱点は取り扱う商品が限定的で、どうしても保守的な提案になりやすいことだ。
資産を増やす積極的な運用を目指したい人は、証券会社やIFAへの相談をおすすめする。
FP
ファイナンシャルプランナー(FP)は、中立的な立場から総合的なアドバイスを提供する専門家だ。
資産運用だけでなく、保険や税金、不動産、相続など、お金に関するあらゆる相談に対応できるのが強み。
特に、ライフプランに基づいた長期的な資産形成の提案に優れている。
ただし、FPは個別の金融商品を推奨することはできず、実際の取引は自分で行わなければいけない。
「余剰資金の資産運用」が前提なら、証券会社やIFAに相談しよう。
IFA
金融アドバイザー(IFA)は、特定の金融機関に属さない独立した立場で投資アドバイスを提供する専門家だ。
多くのIFAは証券外務員の資格を持っており、投資の提案から実際の取引まで一貫してサポートを受けられる。
顧客の目標やリスク許容度に応じて、複数の金融機関の商品から最適なものを選択し提案してくれるのが特徴だ。
ただし、IFAによって経験や専門分野、提供できるサービスの範囲に差があるため、選定には慎重さが求められる。
とはいえ自分に合ったIFAを見つけさえできれば、あなたの資産運用を一からしっかりとサポートしてくれるだろう。
信頼できる相談先に出会うための2つのポイント
ここでは、信頼できるアドバイザーと出会うために押さえておくべき2つのポイントを解説していこう。
相談内容と相談先の業務範囲がマッチしていることを確認する
相談先を選ぶ際は、まず自分が何について相談したいのかを明確にしよう。
以下のような目的に応じて、適切な相談先は異なってくる。
- (投資ポートフォリオができていて)具体的な商品選びを相談したい
- 証券会社
- 預金ベースで元本割れのリスクがない資産形成がしたい
- 銀行
- ライフプランを全体的に見直し・相談したい
- FP
- 投資ポートフォリオの作成から実際の運用スタートまでサポートしてほしい
- IFA
目的に合った相談先を選べば、あなたの悩みをピンポイントで解決してくれるアドバイザーに出会えるはずだ。
なるべく複数のアドバイザーに相談して対応を比較する
一人のアドバイザーの提案を鵜呑みにせず、なるべく複数の相談先の話を聞くことをおすすめする。
それぞれの提案内容や対応の仕方を比較することで、より自分に合った相談先を見つけられるからだ。
具体的には以下のような点を比較するとよいだろう。
- 提案の具体性
- 説明のわかりやすさ
- 質問への回答の的確さ
- 商品の押しつけがましさの有無
分かりやすく丁寧な説明を心がけ、こちらの質問にも親身に答えてくれるアドバイザーなら、長期的な資産形成のパートナーとして信頼関係を築いていけるだろう。
資産運用は今からでも遅くない!不安ならプロに相談しながらはじめよう

人生100年時代と言われる今、資産運用の重要性は年々高まっている。
年金支給額の減少や、インフレによる資産価値の目減りといった課題に対応するためにも、資産運用は避けて通れない課題となっているのだ。
実際に、多くの人が「老後資金を貯めるため」「日々の生活資金のため」といった目的で資産運用を始めている。
また、2024年からスタートした新NISAをきっかけに、投資を始める人も増えてきた。
初心者におすすめなのは「長期・分散・積立」の3原則を押さえた資産運用だ。
特に投資信託を活用した積立投資なら、月々100円という少額からでも始めることができる。
ただし、資産運用には元本割れのリスクもあるため、以下の点には注意が必要だ。
- 投資は余剰資金の範囲内で行う
- リスク許容度に合った投資先を選ぶ
- 長期保有を前提とした商品選択を心がける
資産運用について不安を感じる場合は、プロのアドバイスを受けることをおすすめする。
まずは気軽に相談してみることから、あなたの資産運用をスタートしてみてはいかがだろうか。