- 1億円を増やす方法が知りたい
- 1億円を運用するときのおすすめが知りたい
- 資産運用する際の注意点と成功のコツが知りたい
金融資産1億円は富裕層かどうかを分ける節目となる資産額だ。
1億円というまとまった資産を有効活用したいが、運用先や方法をなかなか決められないという人もいるのではないだろうか。
特に退職金が入ってきた、相続で引き継いだ等の理由で1億円をいきなり手にした場合、まとまった資産をどうすれば有効活用できるか悩んでしまうのも無理のないことだ。
少額からの資産運用と違い、1億円の運用ともなると増やしたい反面、資産を守ることも意識したい。
本記事では1億円のポートフォリオに関する考え方、おすすめの運用方法と注意点を解説する。手元に1億円あるが、どうすればよいか悩んで前に進めない人は参考にしてほしい。
1億円をさらに増やすなら、資産運用がおすすめ

1億円を銀行預金などで眠らせておくだけでは、増えるどころか減る一方だろう。
物価の高騰や円安が進めば、同じ1億円でも買えるものは少なくなったり、手が届かなくなったりする。そこで、考えてほしいのが資産運用だ。
資産運用と聞くと人によっては「危ない」「リスクがある」と不安を感じる人もいるかもしれない。
ネット証券などの普及や新NISAの影響で投資や資産運用の裾野は広がっているが、過去に投資で苦い思いをした人もいれば、投資詐欺のニュースが流れて警戒している人もいることだろう。
それでも、資産運用を以下の3つの理由からおすすめしたい。
- 銀行預金では資産を増やせない
- インフレ対策には資産運用が必要
- 長期的な運用は複利効果が期待できる
銀行預金では資産を増やせない
2024年から日銀はマイナス金利から政策を解除し、ついに日本も金利のある世界に移行しつつある。銀行預金の金利が上がったという話を目にした人もいるかもしれない。
しかし、大手メガバンクに預けても普通預金の金利は0.10%(2024年11月時点)に過ぎない。
1億円もあるなら定期預金で増やせないかと考える人もいるかもしれないが、1,000万円以上の大口定期預金10年でも金利は0.30%〜0.40%前後といったところだ。
銀行預金も金利がつくようになったとはいえ、増やすという観点では物足りないのではないだろうか。
インフレ対策には資産運用が必要
買い物や外食の値上がりを生活の中で感じている人も多いのではないだろうか。
総務省の統計局によれば2024年10月分の消費者物価指数は、前年同期比で2.3%の上昇だった。
インフレとは「モノ、サービスの値段が上がること」だ。実生活からもデータからもインフレは進んでいると言ってよいだろう。銀行預金の金利だけでは、インフレを補うのは難しい。
しかし、世の中には土地や株式、貴金属などインフレで日本円の預貯金以上に価値が高くなるものがある。現金をインフレに強い資産に置きかえることでインフレ対策になる。
資産運用と聞くと忙しく売買を繰り返すことを想起する人もいるかもしれない。
しかし、それは資産運用のほんの一部に過ぎない。インフレに強い資産を持つことも立派な資産運用の一つだ。
長期的な運用は複利効果が期待できる
資産運用は取り組み方次第で複利効果も期待できる。特に長期投資と複利効果の組み合わせは、1億円というまとまった資産を運用する際に活用できる。
単利と複利の違いは以下を参照してほしい。
- 単利
- 運用益を再投資しない(元本だけに利子がつく)
- 複利
- 運用益を再投資する(元本と利子の合計に利子がつく)
下の表は100万円を3%運用した場合の単利と複利の差を整理したものだ。
単利(単位:円) | 複利(単位:円) | |
---|---|---|
1年後 | 1,030,000 | 1,030,000 |
2年後 | 1,060,000 | 1,092,727 |
3年後 | 1,090,000 | 1,125,508 |
4年後 | 1,120,000 | 1,159,274 |
5年後 | 1,150,000 | 1,194,052 |
・・・ | ・・・ | |
10年後 | 1,300,000 | 1,343,916 |
運用益を再投資すると複利効果が得られる。長期で運用するほど単利と複利の差は広がっていく。
資産運用で、よく活用されている投資信託の中には、複利効果を狙って意図的に分配金を出さずに利益を再投資し続けることで効率良く資産を増やせるタイプも存在する。
特に1億円のようなまとまった額を長期かつ複利効果が期待できる運用ができれば、効率の良い資産形成も可能だろう。
1億円の資産運用におすすめの投資先

資産運用の世界には、さまざまな投資先がある。ただ、1億円を運用する際には、大きく減らさないことを主眼に置くべきだ。
大きく減らさずに資産運用を続けることが結果的に増やすことにつながる。そのため、投資先のリスクが極端に高いもの、プロでも扱いが難しいものは避けたほうが良い。
1億円の資産運用におすすめの投資先は以下の通りだ。
- 債券
- 株式
- 投資信託
- ETF
- REIT
- PEファンド
- ヘッジファンド
それぞれの特徴を確認してみよう。
債券
リスク | 低〜中 |
---|---|
特徴 | 収支の予測を立てやすい |
具体例 | ・個人向け国債 ・米国債 ・各種社債など |
債券は国家、企業が発行する資金を借入するための借用証書だ。元本と利息の返済が約束されている。
基本的に債券は持っていれば定期的に利子が支払われ、期日が来れば額面金額が戻ってくる仕組みになっている。
資産運用の観点から見ると低リスクで収支の予測を立てやすいため、安全な投資先の一つと考えて良いだろう。
債券は低リスクで収支が予測しやすい反面、大きなリターンを狙える投資先ではない。
しかし、1億円のようにまとまった額の運用ならば利回り1%でも100万円(税金などは考慮しない)のリターンは見込める。
資産規模が大きくなるほど債券は資産を守りながら堅実に増やせる投資先として重要性が高くなるはずだ。
発行体が倒産しても株式より優先的に弁済してもらえる点もリスクを抑えたい投資家に向いている。
特に1億円のようにまとまった資産を低リスクで運用する際には、検討したい投資先の一つだ。
株式
リスク | 中〜高 |
---|---|
特徴 | 業績と市況次第で大きなリターンも狙える発行体のオーナーになれる |
具体例 | ・日本株 ・米国株 ・新興国株 |
株式は株式会社に出資している証明書と考えれば分かりやすい。出資なので経営に関わる権利もついてくる。
債券と違い出資した資金は、会社が存続する限り払い戻しされない。つまり債券のような償還期限はない。
元本利息の返済が約束された債券と異なり、業績や市況次第で大きくリターンを得られる可能性もあれば、値下がりして大きく元本割れすることもある。
出資先が倒産すれば債券よりも補償は後回しになるのが原則だ。
債券に比べて収支は不確実だが、株式なら業績と市況次第で債券では実現できないリターンを期待できる点が魅力だ。
投資信託・ETF
リスク | 低〜高 |
---|---|
特徴 | ・小口で分散投資がしやすい ・信託報酬など保有にコストがかかる |
具体例 | ・eMAXIS Slim全世界株式 ・ひふみ投信 ・iシェアーズ S&P 500 |
投資信託は、多数の投資家から資金を集めて、資産運用会社などの専門家によって運用される金融商品だ。
ETFは株式と同じように市場で取引できるタイプの投資信託の一種だ。これらの投資信託の良さはなんと言っても個人では難しいポートフォリオを再現できる点にある。
例えば、個人投資家が日経225の構成銘柄を個別株でバランス良く一つ一つ買うのは、手間も時間もかかる。世界中の株式をバランス良く投資するのも難しいだろう。
しかし、投資信託なら日経平均に連動した商品、世界中の株式をバランス良く集めた商品をパッケージのような感覚で購入できる。
しかも、投資信託は投資家が買いやすいように1口単位で買える。このような特性から小口での分散投資が容易だ。
投資信託・ETFは多様で債券だけで構成されたものから、ブル・ベアファンドのように特定の指数の2倍、3倍の値動きをするように設計されたリスクが高いものまである。
1億円の運用ならばリスクを適度に抑えたバランスの良い投資信託・ETFがおすすめだ。
REIT
リスク | 低〜中 |
---|---|
特徴 | ・不動産を小口で投資できる ・分散投資で不動産を組み込みやすい ・信託報酬はかかる ・分配金が安定して受け取れる |
具体例 | ・J-REIT |
REITは広い意味では投資信託の一種に分類される。投資先が不動産で、投資家は不動産の賃料や売却益を還元してもらえる仕組みだ。
通常、不動産投資には大きな資金が必要になる。1億円あったとしても都心の一等地の不動産の購入には足りないだろう。
地方の不動産でも購入してしまうと資産の大部分が、不動産に偏ってしまうかもしれない。また売りたいときに買い手がすぐに見つけられないリスクもある。
しかしREITなら小口から不動産投資ができる。しかも、日本人に馴染みのあるJ-REITは証券取引所で株式と同じ感覚で売買できるため、換金もしやすい。
またREITは複数の不動産に分散投資をしているためリスクが現物の不動産のように偏りすぎないのもメリットだ。
PEファンド
リスク | ― |
---|---|
特徴 | ・未公開株式に投資できる ・難しい未公開株式の運用をプロに任せられる |
具体例 | ・野村キャピタルパートナーズ ・ポラリス |
PEは、プライベート・エクイティ(未公開株)のことだ。世の中には株式を上場していない成長力のあるベンチャー企業や後継者不在のオーナー企業など、投資妙味のある会社も存在する。
そんな、未公開株への投資手段として注目されているのがPEファンドだ。通常、未公開の株はハイリスク・ハイリターンな上に投資すること自体が個人では難しい。
しかし、PEを専門に取り扱うファンドに投資ができれば、未公開株への投資も可能となる。
ただし、PEファンドの投資は、特定投資家と呼ばれる一部の機関投資家や個人(純資産3億円は必要)でなければ難しいといった制約がある。
例えば野村證券は特定投資家向け銘柄制度を活用して、PEファンドである「ノムラ・プライベート・シリーズ・カーライル・ジャパン・パートナーズV」の設定完了をしたことをプレスリリースで発表しているが、一般的な個人投資家を対象にしたファンドではない。
ただし、個人投資家でも一部の富裕層ならば投資できる可能性が広がりつつあるようだ。
ヘッジファンド
リスク | ― |
---|---|
特徴 | ・基本的に私募形式 ・多彩な投資戦略 ・相場の上げ下げに関わらない利益追求 |
具体例 | ・SBI-Man リキッド・トレンド・ファンド ・富裕層向けの非公開ファンドなど |
ヘッジファンドは、実際のところ明確な定義はないが一般的には私募形式で募集される富裕層向けのファンドのことをさす。
例えば、伝説的な投機家ジョージ・ソロス、冒険投資家と呼ばれたジム・ロジャーズのクォンタム・ファンドがヘッジファンドの象徴だろう。
海外投資に詳しい人ならば、イギリスのマン・グループ等を想起するかもしれない。
ヘッジファンドは私募形式で一般的な投資家ではアクセスが難しい投資対象だ。
そのため、1億円などまとまった資産がなければ投資自体が難しい。
一般投資家でも投資できる投資信託タイプのヘッジファンドもあるが、十分な資産がある人向けの運用先と言えるだろう。
おすすめしない投資先

1億円の資産運用では、おすすめできない投資先も紹介する。
- 先物取引
- FX
- 現物不動産投資
- 未公開株
- ベンチャー企業への直接投資
もちろん、これらは投資の仕方次第ではリスクを抑えて高いリターンを出せる可能性もある。
例えばレバレッジをかけずポジションサイズを限りなく小さくすれば、リスクは抑えられる。
しかし、大きな資産を守るという意味ではあまり適していない、または投資に明るい人でなければ避けた方がよい。
先物取引
リスク | 高 |
---|---|
特徴 | ・取引単位が大きい ・レバレッジをかけられる ・期限がある |
具体例 | ・日経225先物 ・WTI原油先物 ・金標準先物 |
先物取引は予め定めておいた期日に、取引時点で決めた価格で売買を約束する取引だ。
証拠金取引の一つでもあり、差し入れた証拠金以上の取引ができるレバレッジ取引ができる点と取引できる期間が決められているところに特徴がある。
また、買い建てだけでなく下落で利益を狙える売り建てもできる。
先物取引は将来の不確実性に備えるためのリスク回避などに活用できるが、高度なデリバティブ取引の一種でセミプロ級の個人投資家やプロに向いている投資先だ。
期限も決められているため長期投資向きではない。
一般的な投資家が1億円の資産を守ったり、増やしたりするという観点から考えるとおすすめはできない。
特にレバレッジをかけられる取引は元本以上に損をしてしまう恐れもある。
FX
リスク | 中〜高 |
---|---|
特徴 | ・レバレッジをかけられる ・通貨ペア取引 |
具体例 | ・USD/JPY ・EUR/JPY ・TRY/JPY |
個人投資向けのFX会社は多い。そのため、投資経験がある人や身近な人が投資している人も多いのではないだろうか。
FXは外国為替証拠金取引のことで、先物取引と同じくレバレッジをかけたり、売り建てたりもできる証拠金取引の一種だ。
ただし、先物取引のように期限がない。FX業者と直接、取引をする相対取引と取引所取引(くりっく365)がある。
外貨預金に比べてスプレッドが低く、低コストで外貨を調達したりすることができる等、使い方次第では有用だ。
しかし、1億円をFXで運用するとなるとレバレッジをかけた取引をうっかりしてしまうと、大きく損をしてしまうことも考えられる。
また、プロでも先行きが読めない為替の動向を追うのは難しいだろう。
現物不動産投資
リスク | 中〜高 |
---|---|
特徴 | ・流動性が低い ・取引に大きな資金が必要 |
具体例 | ― |
現物不動産は大きな買い物だ。1億円もあれば現物不動産の投資先はあるだろう。
しかし、現物不動産は額が大きいため資産のほとんどが不動産に偏ってしまう恐れはある。
ローンを組んでの投資は大きなレバレッジをかけた集中投資と同じで、失敗すると資産を大きく失うことも考えられる。
また、現物不動産に関しては一度、失敗してしまうと買い手がなかなか見つからないリスクもある。
また、現物不動産は個別具体的で全く同じものが存在しないためプロの目利きも必要になる。
未公開株・ベンチャー企業への直接投資
リスク | 高 |
---|---|
特徴 | ・流動性が低い ・情報が分かりづらい |
具体例 | ― |
未公開株やベンチャー企業への直接投資はリターンの潜在性は高い一方で、リスクも非常に高い。
上場株式のように売りたいときに売れない流動性リスクの高さも気になる。会社自体が成長しないことも当然、考えられる。
上場された株式のように十分な情報公開や決算情報も把握しづらい。投資するにしても資産の大部分の投入は避けるべきだ。
暗号資産(仮想通貨)
リスク | 高 |
---|---|
特徴 | ・値動きが激しい ・口座凍結、永久に取り出せなくなることもある ・ハイリスクハイリターン |
具体例 | ビットコインイーサリアムリップル |
暗号資産は日本円や米ドルのように国家が発行している訳ではないが、通貨のような機能をもつ電子データだ。
具体的にはビットコイン、イーサリアムなどがある。有象無象の暗号資産があり、玉石混交の状況だ。
暗号資産は値動きが激しい。また、管理が悪いと永久にウォレットから取り出せなくなるなど扱いが少し難しい。
少額を暗号資産で分散投資としてもつなら、投資妙味もあるが1億円の運用先となると資産を守るという観点からは、おすすめしづらい。
1億円の投資ポートフォリオ例

1億円の投資ポートフォリオの例を紹介する。ただし、投資家によってリスク許容度や運用方針は千差万別で、その時々の市況もあるため絶対的な正解は存在しない。
あくまでも一つの目安として考えてほしい。
- 安定型
- バランス型
- 積極型
3つを紹介する。考え方の基本として積極運用をするほど株式が多めになり、守備的な運用をするほど債券が多めになる。
安定型
資産クラス | 割合 |
---|---|
株式 | 15% |
債券や金などの安全資産 | 60% |
不動産 | 25% |
安定型のポートフォリオはリスクが高めの株式の割合を抑えるのが基本だ。
その代わり安全資産である債券や金の割合を多めに設定した。また、株式の割合を抑えている分、不動産の割合も高めにしている。
安定型はリスク許容度が低い人、退職後で現役世代のような給与がなく年金暮らしの人におすすめだ。
バランス型
資産クラス | 割合 |
---|---|
株式 | 45% |
債券や金などの安全資産 | 45% |
不動産 | 10% |
バランス型は株式の割合と債券、金のような守りの資産の割合を同等とした。その分、不動産の割合を抑えた。
不動産を組み入れない場合は株式50:債券50の割合でも良いだろう。増やしたいが、大きな目減りも避けたいという場合におすすめだ。
積極型
資産クラス | 割合 |
---|---|
株式 | 60% |
債券や金などの安全資産 | 30% |
不動産 | 10% |
積極型は株式の割合を60%と高めに設定した。資産形成を積極的にする場合、株式100%で国や銘柄を分散させるのも手だ。
ただし、1億円のように大きな資産を運用するとなると資産クラスを株式のみに一点集中するのは、リスクが高い。
システマティックリスク(分散投資だけでは対応できないリスク)が市場にあるためだ。
簡単に言えばリーマンショックのように、国や業種関係なく軒並み値下がりしてしまうこともある。
1億円のように大きな額を運用するなら、株式の割合は高めつつも分散投資をした方が手堅いだろう。
1億円の資産運用で注意すべき点

1億円の資産運用で注意すべき点は以下の4つだ。
特に大きな額を運用する場合、資産を増やす以上に減らさないことも大切だ。
- 預金と投資のバランスを考える
- リスク管理
- 相場に振り回されない
- 定期的な見直し
それぞれ確認してみよう。
預金と投資のバランスを考える
投資は資産を守るためには重要だが、元本割れしてしまう可能性もある。また、投資にまわした資金は特に長期投資の場合、拘束されてしまい自由に使えなくなる。
そのため、目先の生活費、生活防衛資金など絶対に減らしてはいけない分の資産は預金として投資資金から控除しておくべきだ。
リスク管理
投資にはさまざまなリスクがある。代表的なものだけで以下のようなリスクが考えられる。
- 価格変動リスク
- 市場価格が変動して元本割れする
- 流動性リスク
- 売りたいときに換金できない
- 信用リスク
- 債務不履行(デフォルト)の恐れ
- 為替リスク
- 為替相場の変動に影響される
- カントリーリスク
- 国の政情不安に影響される
投資は資産をリスクに晒す行為でもある。そのため、投資の際にはどのようなリスクを取っているかを認識し、うまく折り合いをつけていくことが大切だ。
利益を追求するあまり、リスクを取りすぎないようにしてほしい。
相場に振り回されない
資産運用をしていると、値動きや資産の増減が気になってしまうものだ。しかし、値動きや増減に一喜一憂してしまうと冷静な判断ができなくなってしまう。
例えば事前に投資のルールを決めて、それに従うなど振り回されない仕組みを資産運用の中に組み込むと良いだろう。
定期的な見直し
資産運用を続けていると各資産クラスの増減に伴いバランスが偏ってしまうことがある。
また市況やリスク許容度の変化などで最適な資産配分の割合(アセットアロケーション)も変わってくるだろう。そのため、定期的に
運用戦略や資産の組み合わせ(ポートフォリオ)の見直しをしよう。
1億円の資産運用が成功する人の考え方

1億円の資産運用を成功させるなら、あなたがセミプロ級のトレーダーやディーラー出身でもない限り売買を頻繁に繰り返すトレーディングではなく落ち着いて資産を育てる長期投資が基本だ。
1億円の長期投資を成功させる重要なポイントは以下の3つだ。
- 長期・積立・分散が基本
- 自分に合ったポートフォリオを組む
- NISAやiDeCoを活用
それぞれ解説する。
長期・積立・分散が基本
長期・積立・分散は誰にでも取り組みやすく資産を堅実に育てられる運用法だ。
長期投資は複利効果を期待できる。また、投資には年によって良い成績になったり悪い成績になったりすることもあるが、長期で運用すればリスク・リターンが平均に収束し安定する。
積立は高値づかみを防ぎ、タイミングを分散させることもできる。何より積立は売買のタイミングに悩まずにすみ、精神的なストレスも軽減されるだろう。
1億円を運用するなら分散投資も意識したい。特定の資産クラスや国、銘柄に投資先が偏りすぎてしまうと、万一のことがあったときに資産を大きく失ってしまう。
しかし、分散投資をしておけば仮に特定の投資先になにかあっても損失を最小限に食い止められる。
また、組み合わせ次第では価格変動を緩やかにもできるので大きな資産を運用する場合は特におすすめだ。
自分に合ったポートフォリオを組む
ポートフォリオに正解はない。リスク許容度や運用方針によって最適なポートフォリオは各々異なるためだ。
そもそも資産運用の目的は、資産を増やす先の「人生を豊かにすること」だ。資産運用はそのための手段に過ぎない。
自分の目的から逆算して最適なポートフォリオを組むことを意識してほしい。
NISAやiDeCoを活用
NISAやiDeCoなど税制上、投資家に有利な制度も積極的に活用してほしい。資産運用で生じた売却益や配当金、分配金には通常、税金がかかる。
売却益なら分離課税で20.315%、配当金も分離課税または総合課税を選んで税率に応じた負担が必要になる。
しかし、NISAで運用した分は非課税になり、iDeCoで運用している分は掛金を控除できたり、年金として受け取るまでの間の運用益を非課税にできたりと効率よく資産形成ができるメリットがある。
NISAとiDeCoには投資できる額や対象に限りはあるが積極的に活用しよう。
1億円の資産運用はプロに相談しよう

1億円の資産運用で失敗を避ける一番の方法はプロに相談することだ。
もちろん、プロに相談するからには相応のコストがかかる場面もある。
特にネット証券などで手数料無料のサービスが登場する中、資産運用にコストをかけることに抵抗がある人もいるだろう。
しかし、プロに相談することが結果的に大きな損を防ぎ、資産を増やすことにつながる。
資産運用をプロに相談するメリット
資産運用には絶対的な正解がない。投資家それぞれのリスク許容度や目標次第で最適な投資は変わってしまうためだ。
プロに相談すれば客観的な視点から、投資家それぞれの目標に応じた提案を期待できる。
各種メディアなどで紹介されている資産運用のノウハウやポートフォリオが必ずしも、自分に合っているかどうか分からない。
プロに相談することで、あなたに最適な資産運用の在り方が見つかるはずだ。
それぞれの相談先の特徴・メリット・デメリット
資産運用で相談をするならどこがよいか迷う人もいるだろう。代表的な相談先のそれぞれの特徴・メリット・デメリットを解説する。
証券会社
対面営業をしている証券会社に所属しているアドバイザーに資産運用の相談ができる。
大手や歴史のある証券会社所属のアドバイザーに相談する方が安心できるという人におすすめだ。
証券会社が長年培ってきた知見、商品を扱える点にも強みがあるのは、投資家にとってメリットだ。
ただし、証券会社の営業方針に縛られてしまうこともあり、顧客を優先した提案をしづらい立場にあるアドバイザーもいる。
また、担当者を指名できない、転勤、転職などで入れ替わりが激しいところはデメリットだろう。
銀行
銀行の窓口でも資産運用の相談はできる。銀行の強みは資産運用だけではなく、住宅ローンや自動車ローン、融資などの相談ができる点だ。
総合的にお金の相談をしやすいのはメリットだろう。しかし、銀行は証券会社に比べ扱っている投資信託が限られている。
投資したい商品や銘柄の幅が狭くなってしまうのはデメリットだ。
IFA
IFAは特定の金融機関から独立した立場で、金融商品の仲介ができるアドバイザーだ。通常IFA法人に属して営業活動をしている。
複数の証券会社と提携しているIFAならば、取り扱える商品も豊富だ。
また、特定の金融機関に属していないため営業方針に縛られずに顧客の立場に立った提案をしてもらえる点もメリットだ。
IFAによっては転勤などもないため、末長く資産運用のパートナーとして付き合えるアドバイザーも見つけやすい。
デメリットとしては、IFAと一口に言ってもIFA法人、アドバイザーによってそれぞれ営業方針、専門知識、扱える商品が千差万別で選びづらい点が挙げられるだろう。
そのためIFAを選ぶ際にはしっかり所属する法人とアドバイザーを見極めることが大切だ。
FP
FPは特に家計に関わるお金の専門家だ。FPに相談するメリットとしては、資産運用以外の家計にまつわる相談全般をしやすい点がある。
資産運用以外にも家計の相談全般をしたいという人におすすめだ。
デメリットとしては、FPと言っても人によって知識量も専門性も差が激しいため、選びづらい点が挙げられるだろう。
また、FPは金融商品の仲介をできるとは限らないため、お金の相談のみにとどまり実際の資産運用まで任せられない点もデメリットだ。
ただ、実際は証券会社、銀行、IFA法人に属していて金融商品の仲介もできるFPもいれば、独立してお金の相談にのみ特化して活動しているFPなど業務もスタンスも多様だ。
どこのどんなFPに相談するかをよく考えて選ぶことが大切だ。
1億円の資産運用で悩んだら専門家に相談しよう

1億円の資産運用について解説した。銀行預金だけでは、資産を増やすことも守ることも難しい。
資産運用をすることでインフレ対策をしつつ、資産を堅実に増やしていくことをおすすめする。
資産運用のあり方は様々だが長期・分散・積立の基本をまずは守り手堅くリスクを抑えつつ資産形成を進めるところからはじめよう。
また、NISAやiDeCoなど税制上、有利な制度も活用していこう。一番、おすすめなのはプロに相談しながら資産形成をすることだ。
プロに相談すれば、各々に応じた具体的な資産運用に取り組める。客観的な視点から、あなただけの具体的なポートフォリオや運用戦略を提案してもらえるはずだ。